月曜日, 11月 30, 2020
ホーム コラム 《ひょうたんの眼》31 成長戦略はデジタル化でよいのか?

《ひょうたんの眼》31 成長戦略はデジタル化でよいのか?

【コラム・高橋恵一】アベノミクスによる景気の好循環や女性活躍社会など掛け声倒れの長期政権が終了し、新政権がスタートした。政権への諸疑問に対する納得いく説明もないまま。

新首相は、国民に「自助、共助、公助、絆」を呼びかけ、コロナ対策と景気回復を重要目標に、戦略目標としてデジタル化と規制改革を掲げ、具体的施策として、少子化対策のための不妊治療補助と業務の効率化のための「はんこ」廃止を打ち出した。

前首相は、少子高齢化を「国難」と言い放ったが、少子化も高齢化も人類が生活水準の高度化とともに迎える現象であって、長寿をいかに前向きに受け止めて社会経済の仕組みを構築していくか、少子社会で安心して産み育てる環境を整えるかであろう。医療福祉、教育、経済など、こちらも多面的な対策が求められている。不妊治療への保険適用に続いて、その数百倍以上の予算規模の少子高齢化対策は打ち出されるのだろうか。

「はんこ」の役割は、本人の意思確認、案件への同意・承認、権威の証明などであろう。特に、同意承認は、組織の意思決定の過程で膨大な作業になっている。しかし、本来、多数の承認が必要なのだろうか? 私の経験でも、稟議(りんぎ)書に10人以上の印が押されて決済を求められた経験があるが、押印者の1人に、案件の説明と意見を聴くと、内容を理解していない場合が多かった。

意思決定に責任を持って対応する人間だけに絞ればよいだけだ。「はんこ」を止める以前に、はんこを押す人数を減らすことが先だ。最前線、現場の実務者に、権限と責任を持たせることが真の改革であろう。

IT化で利益を得るのは誰か?

デジタル化の推進が新政権の最重点とされ、今般の新型コロナ感染対策でも、デジタル化の遅れが悪影響したといわれている。国際的にも遅れを挽回するため、デジタル庁を新設して推進するのだという。具体的には、マイナンバーカード登録を、2022年までには100%にするとか、キャッシュレス化も100%を目指すのだろう。

ところで、私の手伝っている「いのちの電話」(自殺予防のため24時間体制の電話相談)では、SNSでの相談事業も始めるが、SNS管理事業者に、登録料30万円と、月額10万円の管理料を払うことになった。

相談員は無償のボランティア、事務局は最低賃金ぎりぎりの非常勤。収入源は、有志の企業や個人の寄付金という事業である。また、小さな駅前の床屋さんは、老婦人1人で営業しているが、カード会社への登録料とキャシュレス決済の手数料が5%かかるので、お客さんの強い要請がないときは、現金決済にしてもらっているという。

IT化、デジタル化、キャシュレス化の進展で、膨大な利益を得られるのは誰なのか? マイナンバーカード登録が100%になったら、システム管理会社は10%登録時の10倍以上の収入増になるのだろう。政府肝いりの目玉政策は、御用業者の稼ぎと連動することになる。

コロナ対策と言いながら、持続化給付金やGOTOキャンペーンの事業請負業者の手数料など、コロナショックで困っている人の支援なのか、便乗業者への利益供与なのか、なんともいやらしい事態の展開である。(地図好きの土浦人)

0 0 投票
Article Rating
0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー

LATEST

ロボッツ、過去最多114得点で福島に大勝

【池田充雄】男子プロバスケットボールB2リーグの茨城ロボッツは28、29日、水戸市緑町のアダストリアみとアリーナで、福島ファイヤーボンズとのホーム2連戦に臨み、28日は94対77、29日は114対85と連勝。これで今季通算成績を12勝5敗とし、2位の仙台89ersに勝敗数でも勝率でも並んだ。茨城の114点はチーム設立以来の最多得点記録となった。 ●2020-21 B2リーグ第17戦(29日、アダストリアみとアリーナ)茨城 114-85 福島茨 城 |29|27|27|31|=114福 島 |27|21|22|15|=85 第4Q残り1分23秒、リバウンドを奪った鶴巻が速攻を鮮やかに決める(撮影/高橋浩一) 「非常に収穫が多い試合だった。全員が得点し勝利に貢献してくれた。特に後半のプレーは、いままでの中でもひときわ良い出来だったと思う」とクレスマン・ヘッドコーチ(HC)は選手たちを讃えた。

第9弾 13億のコロナ経済対策など提案 土浦市議会30日開会

土浦市の安藤真理子市長は30日開会の市議会12月定例会に、第9弾となる総額約13億1400万円の新型コロナ緊急経済対策事業が提案する。 現在、感染拡大が深刻化している第3波に対応し今後に備えるため、避難所、緊急診療所、学校、保育所、市役所本庁舎などで使用するマスク、非接触型体温計、感染防護服、消毒液、アクリルパーテーションなどの感染予防対策物品を追加で購入するほか、救急搬送や消防団の活動で使用するサージカルマスクなどの感染防護敷材をさらに購入する(事業費は約6800万円)。 市民生活支援策として、家庭ごみの排出費負担軽減のため、市内全世帯約6万7500世帯に30リットルのごみ袋10枚の無料引換券を配布する。5月に実施したごみ袋無料配布の第2弾となる(約4100万円)。 民間の保育施設に対しては、国の第2次補正による慰労金支給事業の対象外となった未就学児を預かる民間保育施設などに勤務する職員約1000人を対象に、慰労のため3万円分のプレミアム付き商品券を配布する(約2100万円)。 新しい生活様式を踏まえた地域経済活性化に関する事業として、小中学校と、避難所となる神立地区コミュニティーセンターの和式トイレを蓋付きの洋式トイレに改修するほか、小中学校の特別教室にもエアコンを整備する(約11億9900万円)。 在宅を有意義に...

《霞月楼コレクション》11 リンドバーグ夫妻 土浦で名残りの一夜「人生最良の日々」

【池田充雄】1931(昭和6)年9月12日、リンドバーグ夫妻は、霞ケ浦を発つ前の最後の1日を土浦で過ごした。錦秋の筑波山をケーブルカーで登り、夜の土浦の街でそぞろ歩きも楽しんだ。午後6時30分に霞月楼に戻って入浴後、霞ケ浦海軍航空隊の松永寿雄副長主催による歓送会が松の間で開かれた。 霞月楼での歓送会の様子。中央にチャールズと松永副長、その右にアン。外国客向けに特注した高脚の膳が並ぶ 宴を待つ間、満寿子女将が夫妻に茶を立てており、当時10歳の恒二(後の霞月楼3代目)が迎えに行くと、アン夫人が歩み寄り、頬に優しくキスをしてくれたそうだ。芸者の白粉とは違う、初めて嗅ぐ香水は少年にとって忘れられない思い出になり、集まった記者団に感想を聞かれ「とてもいい匂いがした」と答えたという。 1カ月の長旅の末に霞ケ浦へ 霞月楼で歓送会を前にくつろぐ夫妻

土浦・つくばなど8市町 不要不急の外出自粛、深夜営業自粛を要請

新型コロナウイルスの感染状況が県南部などで深刻化しているとして、大井川和彦知事は27日、土浦、つくばなど8市町を感染拡大市町とし、8市町の住民に対し12月13日まで不要不急の外出自粛を要請するほか、酒類を提供する飲食店などに夜10時以降の営業自粛を要請すると発表した。 8市町は、土浦、つくば市のほか、つくばみらい、牛久、取手、かすみがうら市、阿見、境町。 特に土浦、つくばみらい市、境町の3市町は、直近1週間の人口1万人当たりの新規感染者数が、土浦市4.27人、つくばみらい市5.88人、境町4.98人と、2.5人を大きく上回り、国の指標で、爆発的な感染拡大が起き医療提供体制が機能不全に陥ることを避けるための対応が必要な「ステージⅣ」に相当する状況だとした。 つくば市など5市町は、同1.5人を超え、国の指標で、感染者数が急増し医療提供体制に支障が出ることを避けるための対応が必要な「ステージⅢ」に相当するとした。5市町の同新規感染者数はつくば市2.30人、かすみがうら市1.98人、阿見町2.09人、牛久市2.48、取手市1.73人。 県全体でも直近1週間の新規感染者は人口1万人当たり1.04人となり、千葉県を上回った。新規感染者数が集中している県南が県全体を押し上げた形だ。11月以降の新規感染者の感染経路は、家庭内などが30%、職場が29%、会食が23%、他県で感染が13%。 病床稼働率は現在52%に上っている。冬場は心疾患などが増える傾向にある中、病床がひっ迫しているとした。一方、県南を中心に、コロナ患者用の病床を現在の316床(重症者用44床)から12月中旬までには416床(重症57床)に増やす。
0
コメントお待ちしてますx
()
x