土曜日, 1月 23, 2021

瀧田薫

《雑記録》14 「イージス・アショア」中止と新安保戦略

【コラム・瀧田薫】2020年6月15日、河野太郎防衛相はイージス・アショアの配備計画停止を発表し、安倍首相もこれを追認した。2017年に導入が閣議決定され、配置候補地(秋田県と山口県)の了承を求めて交渉中だったものが突然の中止である。与党内では、事前の通告がなかったことへの不満もあって、異論・反論が噴出した。安倍首相もこれを無視出来ず、「この夏、国家安全保障会議(NSC)で議論し、日本の安全保障戦略の新しい方向を打ち出す」との考えを表明した。これを受け、現在、与党内でにわかに防衛論議が盛り上がっている。 7月末、首相の肝いりで新設された検討チームが、ミサイル防衛に関する政府への提言案をまとめたが、最終的な結論の中身について確たる見通しはない。ただ、今後の議論をリードする4人のキーパースンを示すことはできる。すなわち、安倍首相、河野防衛相、岩屋毅前防衛相、そして小野寺五典前々防衛相(新設された検討会議・座長に就任)の4者である。 安倍首相は、イージス・アショアを北朝鮮ミサイルへの備えとして国民に説明し、同時にトランプ米大統領からの圧力(バイ・アメリカン)に応える一石二鳥の良策と考えていた。しかし、この計画には大きな欠陥があった。候補地の指定を受けた自治体から、ロケットのブースターが居住区に落下する可能性を指摘されたのに対し、防衛省はコンピューターで操作するので安全だと説明していた。 ところが、5月下旬、アメリカの製造元から、ブースターの落下位置を制御するため大規模改修が必要との情報が防衛省に伝えられた。この情報を聞いた河野防衛相は、以前からイージス・アショアの兵器としての性能やコストに疑念を抱いていたこともあって、即座に計画の中止を決断、安倍首相の説得に向かった。 転んでもただでは起きない安倍首相 首相は当然難色を示したが、政治的環境が悪過ぎた。相次ぐ不手際で秋田への配備を断念したばかりであり、党内の複数の不祥事、コロナウイルス、大雨被害、経済の落ち込みまであるなかで、地元選挙区民の安全を無視することはさすがにできなかったようだ。しかし、転んでもただでは起きない。計画中止の見返りとして、安全保障戦略の新方向を探る検討チームを立ち上げた。

《雑記録》13 アメリカ大統領選挙・雑感

【コラム・瀧田薫】2013年1月、再選されたオバマ大統領は2度目の就任式に臨み、リンカーン大統領と公民権運動の指導者キング牧師が愛用した聖書に手を置いて就任の宣誓をした。このパフォーマンスにこめられた政治的意図は、アメリカ建国以来の宿痾(しゅくあ)である人種差別を解消し、分断された社会に調和と協調をもたらすことにあった。しかし、不幸なことに、アメリカ初の黒人大統領の願いは実らず、トランプ大統領の登場以降、アメリカ社会の分断はむしろ拡大の一途を辿(たど)っている。 今年11月、トランプ大統領は再選をめざして民主党候補バイデン氏とたたかう。現時点(7月2日)で、大方の専門家の予想はバイデン氏有利としているが、前回選挙同様、予断を許さない。それはさておき、ここまでの選挙運動を通じて目立った動きは、オバマ氏が前職大統領としては異例なほどにバイデン氏に肩入れし、支援する姿勢を見せていることだ。トランプ氏が再選されれば、アメリカ建国以来の理想(自由、民主主義、人権など)の崩壊につながるとの危機感が彼の背中を押しているに違いない。 2020年5月25日、米中西部ミネソタ州ミネアポリスで、白人警官が黒人男性の首を膝で押さえ続けて死亡させる事件が起きた。この映像がネットを通じて拡散されると、全米各地で人種差別に抗議するデモが発生し、時間の経過とともに、デモは人種差別に対する抗議の域を超えて、米国社会に残る「構造的な差別」の根絶を訴える運動へと展開しつつある。黒人奴隷制度と先住民からの収奪のうえに繁栄を遂げた米国の歴史そのものを見つめ直す議論も始まっている。 南北戦争のトラウマが大統領選に影響 一例をあげれば、南部ミシシッピ州議会(上下院ともに共和党が多数を占める)は、南北戦争(1861年)で南軍が使用した旗をあしらった州旗を廃止する法案を圧倒的な多数で可決した。アメリカの全州の旗から南軍旗のデザインは消え去ることになる。アメリカで、何かが動き始めたようだ。 筆者は、過去何回かの米国大統領選挙について、毎回同じ仮説上に立って分析を試みてきた。すなわち、「南北戦争」(同じ国民同士が殺し合った記憶)のトラウマが大統領選挙の結果に影響を及ぼすのだが、その影響の出方(強弱)は選挙ごとに異なるという仮説である。例えば、オバマ氏の選挙の時よりもトランプ氏の選挙の時に「分断国家」のトラウマはより強く出た。分析の手法としては実に単純で、南軍に参加した州と北軍に参加した州それぞれにおける投票行動(誰に投票したか)を比較する。

《雑記録》12 「壺から金平糖」 日本経済はどうなる?

【コラム・瀧田薫】壺から金平糖(こんぺいとう)を取り出そうとして、手が抜けなくなって困った話。最近、この話をよく思い出す。 筆者の記憶では、主人公は名代の因業爺(いんごうじじい)。村の寄り合いで壺に入った金平糖を振る舞われ、壺に手を入れると、どうしたものか手が抜けない。引っ張りだそうと血管が膨れあがるほど頑張ってみるが、抜けない。最初は大笑いしていた周囲の衆も、だんだん心配になり、壺を押したり引いたり、ああしろ、こうしろと指図もしてみるが、壺はびくともしない。とうとう、爺様は泣き出す始末。 見かねた家の主、大事な壺だが爺様の手にはかえられぬと、煙管(きせる)で壺を叩き割ると、金平糖をぎっちり握りしめた爺様の大きな拳が出てきた。話はそこまでで、この話をどう解釈するかは、それぞれに任されているようだ。 さて、昨夜(5月26日)のことだが、偶然、NHKスペシャル「苦境の世界経済・日本再建の道は」(再)を視聴した。番組に招かれたゲストは、経済再生担当大臣・西村康稔氏、コロンビア大学教授・伊藤隆敏氏、そして三菱経済研究センター長・武田洋子氏のお三方であった。 正直、三者の話は噛み合わず、特に西村氏は浮いていたが、筆者なりに番組の内容をまとめると、今後生き残る企業の条件として、①変化への対応力②AIの活用力③長期的ビジョンを備え、持続可能な企業たることに重きを置く経営方針が必要ということだった。 いわゆる新自由主義の影響で、企業経営が「株主の利益と短期利益の優先」に流れていたとの批判は目新しいものではないが、新型コロナウィルスの影響でこうした企業経営の見直し論が力を増してくることは十分考えられる。

《雑記録》11 「反グローバリズム」と「新グローバリズム」

【コラム・瀧田薫】「グローバリズム(経済や文化の国境越えや相互依存)」。この考え方を、河川にたとえて、「本流(立論前提)」と呼ぼう。この本流、少し前まで、流域の人々に豊かな恵みを与える大河として受け入れられていた。ところが、コロナウイルスの出現によって、大河は一転、暴れ川となり、その流域に甚大な被害をもたらした。 それ以前から、この大河には何本もの支流が存在していたのだが、ウイルスの出現を境に、本流は二股に分かれ、二つの巨大支流となって、それぞれ逆方向に流れ始めた。一方の支流の名を「反グローバリズム」、もう一方を「新グローバリズム」と呼ぶことにしよう。 「反グローバリズム」の例として、英国の「ブレグジット」をあげよう。英国内で沸騰したナショナリズムとポピュリズムの勢いも、ウイルスの攻撃で一時の勢いを失っている。もともと、EU(欧州連合)からの離脱による経済の落ち込みは避けられないと見られていたが、そこにウイルスという想定外の事態である。 しかし、いまさら後戻りは出来ない。他方、アメリカでは、トランプ大統領の再選に黄信号が灯った。ウイルスを軽視したことが彼の致命傷かも知れない。戦時の大統領を気取り、岩盤といわれる支持基盤をなんとかつなぎ止めようとしているが、アメリカ経済の落ち込みをどこまで回復させられるか、その勝負だろう。 コロナは将来の政治選択も迫る 他方、「新グローバリズム」の旗手一番手の中国は、ウイルスに対して情報管制を武器に闘おうとして手ひどい目に遭った。それに懲りて、権威主義を見直すかと思えば、むしろ独裁体制をさらに強化している。また、国内の生産体制に打撃を受けながら、途上国を対象とした大々的な人道支援に乗り出している。この外交姿勢が貫かれれば、中国の支援に期待している国々にとっては、好印象であろう。

《雑記録》10 コロナ危機と人間の安全保障

【コラム・瀧田薫】WHO(世界保健機構)が新型コロナウィルスのパンデミック(世界的流行)を宣言した。危機の核心は「感染が何処まで広がるか、どれほど深刻か、そしていつまで続くか」にあるが、フィナンシャルタイムス紙が最悪の場合を想定(2020年3月20日付)している。すなわち、世界人口の最大80%が感染すると予測し、致死率を1%とした上で、対応策(隔離、治療薬やワクチン)の効果を折り込み、死者3000万人程度になると予想している。 この数字をどれだけ減らせるかは、「時間との勝負」ということだろう。しかし、公衆衛生の専門家の間に、パンデミック終息時について確たる見通しはないようだ。東京オリンピックは1年程度の延期とされたが、これは「希望的観測」に基づく判断であろう。 それにしても、この国の防災システムと政府の危機管理はお粗末だ。グローバリゼーションのもたらすパンデミックの危機を何度も指摘されながら、対応策は閑却された。その結果、難民はもとより、外国人観光客まで国外排除の対象と成り果て、観光立国政策はほとんど破綻状態にある。当面、ウィルスとの闘いに集中するにしても、それと並行して、この国の防災そして危機管理の抜本的な見直しが必要であろう。 ちなみに、1994年、国連開発計画(UNDP)が「人間の安全保障」の理念を提示している。この理念の狙いは、グローバリゼーションに伴って登場してきた21世紀型の危機(難民、テロ、地域紛争、武器や薬物の密輸、飢餓、経済・金融危機、環境破壊、感染症など)に対処するため、国家中心の安全保障という従来の枠組みを見直すことにあった。 中村哲氏と緒方貞子氏の実践 意外なことに、当時、この国の政府は他国に先駆けて、この理念の具体化に動いている。1998年、小渕首相が「人間の安全保障基金」を立ち上げ、2000年、森首相がこの理念を外交政策の柱の一つに位置づけている。何はともあれ、この原点に一度立ち返ってみるべきだろう。そして、原点から約20年が経過した今、「人間の安全保障」の理念がこの国においてどこまで実現されたのか検証する必要がある。

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タブレット、PC寄付を つくばの無料塾 発達障害児支援やオンライン授業に

【川端舞】生活困窮世帯の子どもに学習支援を行う「無料塾」を運営するNPO法人「居場所サポートクラブロベ」(つくば市島名)が、不要になったパソコンやタブレット端末の寄付を募っている。発達障害などがある子どもたちに貸し出すほか、今後新設する障害児向け放課後デイサービスでも、パソコンやタブレットを使った学習支援を行う。 現在、無料塾に通っている子どもは3教室併せて小学生から高校生までの85人。そのうち、発達障害や外国人児童など読み書きに難しさを抱える子どもは45名程度いるという。 タブレット教材に集中 無料塾ではタブレットを1台、ノートパソコンを5台保有しており、読み書きが難しい子どもたちのうち、小学生にはタブレットを、中高生にはパソコンを貸し出している。理事長の森美智子さん(54)は「通常の教材だと興味を持てず、すぐに遊んでしまうが、タブレットの教材だと集中力が続く」と話す。 タブレットの台数を増やしたいと思い、民間の助成金事業に応募し、パソコンのみ寄付を受けた。それでも不足するため、一般家庭から寄付を募ることができないかと考えた。パソコンとタブレット、それぞれ10台追加できれば、必要な子どもに貸し出せるという。寄付されたタブレット等には、ゲーム感覚で学べる教材ソフトを入れる予定だ。

《宍塚の里山》73 謎の広場に2匹のタヌキを発見!

【コラム・及川ひろみ】宍塚には不思議な広場がある。雑草がなぎ倒され、ぽっかりと空いた広さ20畳ほどの広場。谷津のくぼ地で、日当たりがよく、周囲は背の高い雑草に覆われ、人が近寄った形跡は全くない。しかも、謎の広場は展望台と呼ばれる高台から丸見え。何のための広場なのか不思議でならなかった。 謎の広場 1月3日の午後3時過ぎ、1匹の丸々と太ったタヌキが広場の隅で寝入る姿があった。日が落ち、寒くなってきたなと思った4時少し前、眠っていたタヌキがやおら起き上がり、広場の縁を歩き始めた。間もなく、草むらから呼び出されたかのように、もう1匹のタヌキが現れた。2匹はしばらくじゃれ合っていた。その後、1匹が近くの穴に入ると、残された1匹も同じ穴に勢いよく飛び込み姿を消した。 2匹は同じような大きさ。番(つがい)のようだ。それにしてもこんな広場、どうやって作ったのだろうか。展望台は五斗蒔谷津(ごとまきやつ)と呼ばれる宍塚大池の南側の先端にあり、散策路から少し入ったところ。ここは谷津が広く見下ろせる見晴らし抜群なことから、野鳥観察のポイント。これまで何度となく訪れた所だが、これまで広場が作られたことはなかった。 それにしても、この広場は日当たりがよく、北側は小高く、北風が遮られ、昼寝には気持ちよさそうなところ。宍塚にはタヌキの成獣を襲う動物がいないからか、その無防備さにちょっと驚く。この時期のタヌキは、疥癬(かいせん、皮膚病)に侵され、やせ細るものも多いが、今回見た2匹のタヌキはとも丸々と太り、色つやもよく元気そうだった。 アライグマ、ハクビシン、キツネもいる

コロナ禍 学生4000人が行列 筑波大が食料20トンを無料配布

【山口和紀】筑波大学(つくば市天王台)は22日、学生に食料の無料配布を実施した。地元企業などから約20トンの支援物資が集まり、学生約4000人が列をつくった。一方、想定を大幅に超える学生が集まったことから4時間以上並んだ学生もおり、午後4時ごろには物資が底をついた。 学生生活課の担当職員は「自粛期間に入ってから、こんなに多くの学生を見たのは初めて。午後2時時点で1000人が受け取ったが、今3000人ほどの列ができている」と語った。当初、受け取りにくる学生は「200人から1000人ほど」と考えていたという。 7割が「アルバイト減った」 同大では新型コロナ第3波が到来した昨年12月半ば、生活への影響について学生にアンケート調査を実施した。回答があった学生の7割が「アルバイトが減った」と答えた。 こうした状況を受け学生を支援しようと、今月5日から、教職員のほか、JAやロータリークラブなどの地元企業や卒業生などに支援を呼び掛けた。わずか3日間ほどで地元企業や卒業生が経営する企業などから20トン近い食料が届いた。 コメ7トン、カップ麺2万4000食、レトルトカレー2000食、缶詰2300個、チョコ菓子1万6000個、飲料水1万1000本、キャベツ・ハクサイ各500個、卵1200パックなどだ。

既存校の努力評価を 県議会 筑波高が「魅力ある高校づくり」 

【山崎実】県議会の論戦で、魅力ある高校づくりが取り上げられ、現実的課題解決に取り組む努力に対する評価を求める声が上がっている。 県立筑波高校(つくば市北条)の支援策に、県は「学校支援プロジェクト」を立ち上げ、大学進学のための指導を強化するため、進学対応コースを編成した。今年度は総合選抜で国立大学への合格者が出ているという。 さらに現在の高校2年生からは進学対応コースをアカデミックコースの文系と理系に変更し、個人の学力に応じたきめ細かな対応に努めていくとしている。 また、地域の「人財」として社会性を育むため、学校が独自に「つくばね学」を設け、筑波山麓の製麺所などで1年間にわたる実習を行い「人間力」の向上にチャレンジしている。 2018年度には、筑波学院大学と協定を締結し、「地域デザイン」や「ビジネスマネジメント」など大学で学んだ内容を高校の単位に認定するなど、「高大連携」にも積極的に取り組んでいる。 今後は、「学校と一体となって地域との連携・協働体制の充実に向け、コミュニティ・スクールに導入などについて検討し、地域の声をこれまで以上に反映できる体制づくりに努めていく」(県教育庁)と答弁している。