木曜日, 9月 23, 2021
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高橋恵一

日本の子どもは可哀そう 《ひょうたんの眼》36

【コラム・高橋恵一】青年海外協力隊員として東南アジアに派遣された青年の経験談である。優れた日本農業技術で作物を育てたところ、高温多湿の気候の効果もあって、半年でそれまでの1年分の収穫ができた。現地農民は、大喜びをした。次に、協力隊員は、後半の作付けに取り掛かろうとしたところ、農民は動かない。1年分の収穫ができたのだから、もう働く必要がないというのだった。30年前のことだ。 青年海外協力隊員は、苦笑しながら、現地農民の経済感覚を伝えてくれたが、今なら、ゆとりのできた時間や資金をどう使うかを考えたかも知れない。 日本では、高度成長期から、成果をひたすら企業資金力の強化に回し、労働時間の短縮やセーフティーネットの構築、地球環境の改善・保護に回すことはほとんどなかった。 それから30年。日本の幸福度ランキングは、世界で56位。韓国とピッタリ寄り添って、ロシア、中国の少し上位に位置しているが、OECD(経済協力開発機構)37カ国のうち最下位レベルだ。 我々の生活レベルを考える時、「昔」と比べると、格段に忙しさが変わって来ている。拘束された忙しさ、義務的な忙しさである。 日本の幸福度を改善するためには、就業時間を短縮し、最低賃金を思い切り上げればよい。毎日の労働時間を7時間、週35時間以内にすれば、全く違う世界が見えてくる。当然、フレックスタイムが導入され、満員電車も解消する。生産力を維持するためには、雇用を拡大しなくてはならない。女性の役割が大きくなり、より多様性が拡大する。変化への原動力は、格差社会の解消である。

密を避け生活を満喫する 《ひょうたんの眼》35

【コラム・高橋恵一】4カ月後に予定されている東京オリンピックに、外国からの観客を受け入れないことが決まった。選手も、選手村と競技場以外の行動は制限されることになるようで、オリンピック誘致の決め言葉「おもてなし」は、空振りになってしまうようだ。 オリンピックの経済効果を期待し、特にインバウンドの復活に期待し準備していた業界は、戦術を再構築せざるを得ない。早速、コロナ感染収束の状況も見えないうちから、「GOTOキャンペーン」の再開を言い出したりしているが、慌ててさらなる深みに落ちないように考えるべきだ。 観光とは、文字通り光輝くすばらしい景色、宝、イベントなどに接し、自らの体験を豊かにすることであろう。観光を提供する側も、最大に感動してもらうための「おもてなし」を用意するはずだ。しかし、近年のインバウンド客やGOTOキャンペーン実施時の報道を見ていると、渡月橋に大行列ができたり、浅草や鎌倉の食べ歩きなど、おおよそ日本を満喫する行動とは言えないだろう。観光地では、観光客も観光の対象でもあるのだ。 ホテルや旅館での食事や接待にしても、合宿の朝食でもあるまいし、美しい盛り付けの郷土色豊かな配膳で日常との差別を楽しめてこそ、「おもてなし」なのだと思う。宿泊については、インバウンド対応で「民泊」が登場したが、ホストファミリーとの交流を前提とした昔からのホームスティとは異なる。簡易な宿泊だけなら、ビジネスホテルの利用を進めるべきだろう。 「密」を追いかけてきた日本 この際、「観る側」ファーストを考えてみよう。スポーツやコンサート、観劇などは、会場が一体化して、感動を共有することも素晴らしいのだが、テレビの方が細かい動きや周囲にかき消されていない音声で解説などもあり、理解しやすく満喫できる。

《ひょうたんの眼》34 JOC森前会長の罪深い発言

【コラム・高橋恵一】JOCの前会長が不適切発言で引責辞任し、次期会長に女性が就いた。元々、首相時代から「失言」の目立つ森前会長だったのだが、今回は、重要ポストを追われ、どうやら院政を敷くのも困難な立場に立たされたようだ。 森前会長は、JOCの女性理事の割合を現在の20%から40%にしようとする目標に関して、評議員会の席で「女性の多い会議は、発言者が多くなり、時間がかかるので困る」という趣旨の発言をした。この発言に対して女性蔑視(べっし)、差別だとする批判が高まり、さらに、発言撤回と反省の記者会見で逆ギレし、当初は、政権や関係者の前会長擁護の動きもあったが、IOC会長の裏切り非難声明により、しぶしぶ辞任することになった。IOCも大スポンサーからの指摘で、変節しただけのようだが…。 この発言と「本音」について、国内でも様々な議論が起こったが、日本の男女格差、ジェンダーフリーのレベルが国際的にも最低位置にあることが、世界に広まってしまった。後任のJOC会長の選び方も、透明性確保が求められたが、今までの組織の流れを引き継ぎながら、世間体を繕うために、女性でオリパラ担当大臣の橋本聖子さんが就任した。これで、右往左往した世間も落ち着き、IOCも安心した。 しかし、日本のジェンダーフリー、民主主義のあり方については、何も進展しなかった。会議の発言者多いと、なぜ困るのか? 男性が場を「わきまえている」ということは、異論をはさむ者(男性)を、初めからメンバーに入れていないということだ。そういえば、首相の記者会見、国会での答弁拒否、政策決定の有識者会議等々、初めから結論ありきで、もともと議論を交わす考えがないということだ。 国会だけではあるまい。多くの、株主総会、諸団体の総会から、多くの地域社会の決め事まで、多様な意見を交わして高め合う機会が少なく、結果として、組織の高度化、成長を妨げている。

《ひょうたんの眼》33 今の唯一のコロナ対策

【コラム・高橋恵一】日本の役人やサラリーマンの悪い癖は、「やらない理由」を探すことだ。求められる仕事が、正当で必要なことであっても、やらない。バリアの除去を躊躇(ちゅうちょ)するだけでなく、さらなるバリアを見つけ出して、できない理由を強化することもいとわない。 なぜか? 前例がない、予算と計画がない、結果がよくない場合の責任を取れない、他人に指摘されてからやるのは嫌だ―などなど。新型コロナ対策の現状を見ると、小学生に判断してもらった方がよいのではないかと思われるほど、適切な対策の選択ができない。 第3波が来て、緊急事態宣言が出ても、感染者を救うための医療体制も用意できず、治療も受けられないまま、死亡する人もいる。この日本で、だ。 まず、PCR検査を最大化して、今からでも悉皆(しっかい)検査をして、無症状の感染者からの感染拡大を止め、無感染者の行動を開放すべきだ。検査を受けてないために、自分や接触者が感染しているかどうかが分からない。医療従事者、介護施設、学校、保育施設、その他の福祉施設などの従事者や関係者は、検査が陰性なら感染させる心配をせずに従事できるし、児童生徒や利用者は、安心して通学・通園、利用ができる。 医療体制が間に合わないので、検査数を抑えているという情報があるが、本末転倒も甚だしい。医者が多いと病人が増えて、医療費が増えるというのは、日本の厚生行政が堅持している基本姿勢だが、この事態に至って、人命軽視の非情な結末が明らかになっているのだ。 1年前、新型コロナ感染が起こったとき、中国の武漢やヨーロッパ各国では、臨時の大規模病院を設置して、感染者を収容する態勢をつくった。日本でも、帰国者の待機期間を受け入れた千葉県のホテルの英断があったし、オリンピック選手村を利用したり、つくば市にある某財団の広大な敷地を臨時施設用地として提供する提案もあった。

《ひょうたんの眼》32 コロナ感染対策 今の選択肢

【コラム・高橋恵一】冬季のインフルエンザ流行と重なると恐れられていた第3波の新型コロナ感染拡大の様相があらわになって来た。欧米や東アジアでの再感染拡大と軌を一にしており、さらに本格的な対策が必要である。しかし驚くべきことに、今日に至っても我が国の検査体制、医療体制の不足が報告され、従事者は極限に達している。 新型コロナ感染の情報を察知したのが1月。一斉休校や緊急事態宣言などを経ながら、5月中旬になると、医学的にも、論理的にも、有効な対策の方向も見いだせず、右往左往しているうちに、運よく落ち着いた。当然、次の感染拡大に向けて、医療体制、感染防止対策の万全を期すことと、感染拡大によって引き起こされた収入減と雇用崩壊の救済策が最重点策であった。 一方、経済対策としてGoToキャンペーンを推進し、観光や飲食業界へのテコ入れ、人々の消費マインドの振興のための補助金の給付、ポイント還元などの実質的値引き支援などが実施されているが、何よりも、コロナ感染の恐怖と不自由を抱えたままで経済活動が回復するとは思えない。 もともと、我が国の経済不振は、コロナショックで始まったわけではない。1990年代のバブル崩壊後、不況が繰り返され、失われた20年を取り返すとしてアベノミクスを推進したが、効果が無く、失われた30年へまい進している。個人消費が回復しないのだ。税の優遇策はなどで大企業の業績を上げれば、トリクルダウンして広く個人所得も増大するなどというのは、妄想だということが明らかになった。むしろ、個人所得の格差は拡大するばかりだ。 医療体制を立て直し国民生活の安定を図れ 多くの分野でIT化デジタル化が進み、業務の効率化が図られたが、その成果は、労働時間の短縮、休暇の拡大など労働環境の改善に向けず、雇用人員の削減につなげてしまった。公務員の世界でも、アウトソーシングの拡大により正規職員を削減した。働き方改革などの掛け声の下で、これらの流れが非正規職員の拡大、不安定な雇用の拡大になり、この点でも低所得層が増えてしまった。

《ひょうたんの眼》31 成長戦略はデジタル化でよいのか?

【コラム・高橋恵一】アベノミクスによる景気の好循環や女性活躍社会など掛け声倒れの長期政権が終了し、新政権がスタートした。政権への諸疑問に対する納得いく説明もないまま。 新首相は、国民に「自助、共助、公助、絆」を呼びかけ、コロナ対策と景気回復を重要目標に、戦略目標としてデジタル化と規制改革を掲げ、具体的施策として、少子化対策のための不妊治療補助と業務の効率化のための「はんこ」廃止を打ち出した。 前首相は、少子高齢化を「国難」と言い放ったが、少子化も高齢化も人類が生活水準の高度化とともに迎える現象であって、長寿をいかに前向きに受け止めて社会経済の仕組みを構築していくか、少子社会で安心して産み育てる環境を整えるかであろう。医療福祉、教育、経済など、こちらも多面的な対策が求められている。不妊治療への保険適用に続いて、その数百倍以上の予算規模の少子高齢化対策は打ち出されるのだろうか。 「はんこ」の役割は、本人の意思確認、案件への同意・承認、権威の証明などであろう。特に、同意承認は、組織の意思決定の過程で膨大な作業になっている。しかし、本来、多数の承認が必要なのだろうか? 私の経験でも、稟議(りんぎ)書に10人以上の印が押されて決済を求められた経験があるが、押印者の1人に、案件の説明と意見を聴くと、内容を理解していない場合が多かった。 意思決定に責任を持って対応する人間だけに絞ればよいだけだ。「はんこ」を止める以前に、はんこを押す人数を減らすことが先だ。最前線、現場の実務者に、権限と責任を持たせることが真の改革であろう。 IT化で利益を得るのは誰か?

《ひょうたんの眼》30 土浦、茨城から始まった地域ケア

【コラム・高橋恵一】1987年4月、茨城県の高齢福祉課に高齢化社会対策企画室が設置された。当時、日本の人口の高齢化は、急激に進行しつつあった。全国的には、その現象を単なる老人福祉問題としていたが、県では、高齢化社会問題として考え、新しい組織を設置したのであった。 高齢化社会の行政課題を検討・抽出し、それらの対策の方向をまとめたのが「茨城わくわくプラン」(1988年3月)、茨城県高齢化社会対策である。施策は、高齢者の健康福祉対策から、住宅・交通環境など多岐にわたり、竹内(藤男)県政では唯一といえる、福祉部が主導したソフト政策であった。わくわくプランについては、別の機会に譲りたい。 高齢化の進行で、特に深刻な問題が老人介護であった。有吉佐和子の小説「恍惚(こうこつ)の人」で問題提起されたことが、現実になっていた。そのような状況下で、国内各地でモデル的に老人医療・福祉サービスに取り組んでいる事例があった。その一つが、国立霞ケ浦病院(現霞ケ浦医療センター、土浦市)で整形外科部長の関先生が中心となって取り組んでいた「地域医療カンファランス」である。 足を骨折した老人が、手術治療をして退院しても、帰宅後のリハビリが充分でないため、歩くことができなくなってしまった事例があり、病院スタッフが相談をして、当時、訪問看護が認められていない中で、看護師さんが無償でリハビリ、生活指導に当たった。 治療は、病院だけでなく、家庭や地域と連携しなくては完成しないとして、関係者のカンファランスを始めたものである。参加者は、土浦市内の他の病院や診療所の医師や看護師、リハビリ技術者、保健師や市福祉課の職員、社会福祉協議会の職員など、全員時間外に無報酬の参加であった。先日まで、このNEWSつくばでコラムを執筆していた室生勝先生は、カンファランスの創設メンバーの1人である。 「土浦市ふれあいネットワーク」

《ひょうたんの眼》29 コロナ禍で日本の観光を思う

【コラム・高橋恵一】コロナ禍で疲弊した観光産業を救うためとして、補正予算で事業化したGo to キャンペーンが前倒しでスタートする。コロナ感染は収まらず、東京都への発着は補助金の対象にせず、若者や高齢者の団体は対象外、宴会もダメ。一方、感染者の再増傾向の東京通勤圏と大阪府は対象になる。東京都だから伊豆七島や小笠原は対象外、米軍基地からの感染の恐れがある沖縄への旅行は補助対象。 日本地図を横に置いて眺めると、いかにもちぐはぐな観光振興策である。第一、コロナウイルスは人間の作った都道府県境に規制されることは無いのだ。 近年、日本の観光は、政府の肝いりもあって、外国人観光客の受け入れ、インバウンドが盛んであったが、昨年、隣国同士のケンカで、韓国人観光客がほぼゼロになり、中国観光客も一時ほどの爆買いが減ってきたところにコロナ騒ぎで、欧米を含め、外国からの観光客は皆無になってしまったのだから、関連業界は大変深刻なのはわかる。増して、今頃は、東京オリンピックで日本中に観光客があふれているはずだった。 感染は人の移動に伴うものだから、観光地を抱える各地方は、それぞれの県内での観光振興を、政府のGo toキャンペーンに先行させる動きを始めたところであった。地元の観光を見直してもらう機会でもある。 石川県和倉の高級観光ホテルへ

《ひょうたんの眼》28 新自由主義経済からの脱却が必要

【コラム・高橋恵一】新型コロナウイルス感染とその対応で、我が国の様々な実態があらわになったことに驚いた。まず、国民の命や生活を守るという意味で危機管理体制があまりにもお粗末だったこと。理知的な対策の方向も見いだせず、右往左往しているうちに、運よく落ち着いたということだろう。 支援金の支給など、緊急事態なら1週間もあれば、実施できるはず、というより、最優先しなくてはならないことを、業務の質もスピードも優れているはずの業者に手数料を払って外注した挙げ句、施策の成果が国民に届く時期は信じられないくらい遅れた。 「これで全てがつながりました」。テレビ番組「相棒」で、水谷豊扮する杉下右京警部が事件の真相を掴(つか)んだ時の決め台詞(せりふ)である。 日本はバブル崩壊後の社会経済対策として小泉構造改革を選び、政策のベースは、竹中平蔵氏に代表される新自由主義経済理論。聖域なき構造改革として小さな政府を目指し、役所や企業の効率化、スリム化を推進し、社会保障費を抑制し、医療機関を減らし、看護師や介護関係者の賃金を抑制した。その結果が、現在日本の感染症やその影響対策の実力である。 また、新型コロナウイルス後の社会経済構造を強化するとして、IT化、デジタル化を強化しようとしているが、ますます富の集中が進み、格差の拡大が懸念される。業務のアウトソーシングが進み、情報の寡占化が進むことになろう。 その受け皿になる企業体が、広告代理や印刷業などの施策・事業から仲介取りまとめ業に変身した企業や、本来の国や自治体が使命・ミッションとする業務を受注してしまう人材派遣業になっていて、膨大な利益を上げ、その企業体の幹部が政権と深くつながっていたり、経済財政策の指南役だと判明すると、権力の中枢の姿がよく見えてしまった。

《ひょうたんの眼》27 三密を避ける新しい生活とは

【コラム・高橋恵一】新型コロナウイルス感染症の拡大対策のため、小池都知事が隣接県の知事に呼び掛けた。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県による首都圏知事の対策会議である。このニュースに違和感を覚えた。茨城、栃木、群馬が入らないで、山梨が首都圏か? 問題の本質から外れるが、茨城県人としては心穏やかではない。ちなみに、東京駅あるいは皇居を中心に同心円を描くと、一番遠いのが山梨県である。 話を感染対策に戻すと、大都市の隣接県で危険なのは、通勤電車の混雑である。東京一極集中の象徴で、三密の極みであろう。大体、ウイルス感染以前に、ラッシュ時の密着度はもともと異常なのだ。座ることも出来ず、下手すると痴漢のえん罪も受けかねない。輸送態勢の強化・改善、時差出勤の徹底、職場の郊外移転、勤務時間の短縮―。日本人の年間労働時間をヨーロッパ並みにすることだ。 次は、学校だ。1学級の定数を減らす。小学校だと、15人ぐらいが最良だと聞いた。さらに、児童生徒を、過重な受験勉強から解放してあげられないか。小学生がなぜ満員電車やバスで通学しなくてはならないのか。義務教育期間に、児童生徒が身につけなくてはならない学力はどれだけなのか。 受験のためだけの知識・技術は、その後の社会人として必要な知識なのか。絵画や音楽を楽しむことが主体の部活ではいけないのか。スポーツも楽しむ程度ではいけないのか。日本語の豊かさは、スポーツで「勝負」と言わずに「試合」という。金メダルだけが価値があるような風潮は疑問だ。 医療介護体制整備が喫緊の課題 それにしても、三密を避けるのが感染症対策の基本なのだろうか。親子・家族の関係は、会話と接触抜きに成り立たないだろう。友人関係だってある意味三密が無ければ、空々しいものになる。

《ひょうたんの眼》26 10万円給付は手付金

【コラム・高橋恵一】政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対策として、やっと国民1人当たり10万円を支給することにした。経済対策というより、生活不安を和らげる意味合いの方が強いであろう。感染拡大と外出「自粛」によって、国民は極度の多重不安にさらされている。 中国での新型コロナウイルス感染症の発生と、それに続く武漢封鎖が1月中旬。さらに、感染拡大が中国周辺だけでなく、ヨーロッパにまで一気に広がったことには、驚いた。 日本で最初に感染者が出てから3カ月。報道によると、感染拡大を受けて、台湾や韓国は、検査の徹底により、どうやら危機は乗り越えた。欧州では、イギリスが賃金の80%保証、スイスの現金給付などにより、徹底した外出規制と国民の生活不安緩和を手早く措置しているように見える。ドイツは、隣国の患者まで引き受けるほどに万全な医療体制を組んだようだ。早々と。 新型コロナの感染拡大は、地震や津波、大空襲などによる都市の壊滅的な破壊と同じような状態になろうとしているのだ。日本は、世界の動きを横目に見ながら愚図愚図(ぐずぐず)としていて、現時点での具体的な対策は、各戸2枚の布マスク配布着手と、補償もはっきりしないままの外出自粛要請だけなのだ。 先ず、さっさと10万円を支給する。国民に一口水を飲んで貰って、落ち着きを促し、広範な休業補償、生活保障をすることを宣言して、新型コロナの感染拡大を抑え込むべきだ。 連休中に各人の口座に振り込め

《ひょうたんの眼》25 原発事故対応の失態を教訓に

【コラム・高橋恵一】クラスター。パンデミック。オーバーシュート。ロックダウン。新型コロナウィルスの感染拡大に伴って登場した「用語」である。行き過ぎた感染拡大、市民の移動や生活・経済活動が制限される都市封鎖。つまり、日本も武漢やイタリアのようになる可能性があるということだ。メッセージは明解さが必要だ。 新型ウィルス感染は、治療薬も予防ワクチンも無いので、国民はどうしたらよいのか分からない。人混みは避けて手洗い、うがい、マスクを使用する。風邪の症状が出て、体温37.5度が4日間続く間は自宅で静かにしている。それまでは感染の有無の検査もしない。ただし、重症化している人は医者にかかる。つまり、仮に感染しても重症化する人は少ないから、少々の発熱や体調不良の人は我慢していろというわけだ。 日本の初期対応は、武漢封鎖は中国国内の問題と見て、感染者が出た大型クルーズ船の乗客を上陸させず、水際作戦で感染を封じ込めるはずが、日本におけるクラスターの第1号にしてしまった。酒と美食のパーティー、社交ダンスあり、カジノあり。豪奢(ごうしゃ)だが不健康な環境下で、当然のように感染拡大した。情けないのは、政府もマスメディアもこのクルーズ船だけを見ていた。 国内での感染が出始め、国民の不信感を感じとると、首相は突然、小中高学校の休校を言い出し、続く記者会見では、検査体制の整備とマスクなどの供給体制を「次の週」までに整えると発言した。メディアも国民も、少なくとも「スグ」と受け取った。 結果、検査は増えず、店頭にはマスクも消毒用アルコールも並ばなかった。首相は「スグ準備に取り組む」と言ったのだという、「得意のご飯論法」だが、なんと記者会見から2カ月になろうというのに、まだ準備体制のままだ。このようなときのトップリーダーの言動は国民の命にかかわる。マスコミの追及も緊迫感がない。 新型コロナ 危機を見据え全力対応を 東京オリンピックについても、首相は「完全な形での開催」と、意味不明のことを言い出した。どうやら延期の伏線だったようだ。オリンピックも気になるが、新聞もテレビもそこに集中してしまう。感染拡大の危機から逃げようとしているみたいだ。いずれにしても、世界が新型感染症との「戦争」を終えなければ、オリンピックができないのは明らかだ。優先されるのは地球人民の生命の安全だ。 武漢の感染情報から2カ月半、首相の記者会見から2カ月。日本のナノテクノロジーを動員すれば、万能のマスクを生み出せるかも知れない時間だ。検査の完全実施による感染者の実態把握、感染爆発に対応できる医療体制の確保、国民の感染防止活動の徹底。野党も含めた政治とマスメディアは、危機を正面から見据え、全力で対応すべきだ。耳障(ざわ)りのよい「掛け声」ではなく、施策として。 9年前の津波による原発被災で、旧型の原発の廃炉を惜しんで、海水による冷却の決断ができなかったときのような、大失態を起こさないことだ。なにが大切か。国民の命を守らなければならない―政府とマスメディアの真価が問われる。(元茨城県生活環境部長) ➡高橋恵一さんの過去のコラムはこちら

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つくば市が1位 2020観光客数 コロナ禍響き県内4割減

茨城県観光物産課は2020年の観光動態調査結果を発表した。市町村別では、272万9000人の入込客数(延べ人数)があったつくば市が県内1位となった。3位だった19年の425万9000人から減少したものの、コロナ禍の影響は、大洗町やひたちなか市の海水浴場、ひたち海浜公園などでより顕著な入込客数の減少となって表れた。 県全体の20年(1~12月)の観光入込客数は3854万4000人で、前年と比べ40.2%減った。観光消費額は2101億円で15.5%減となった。 減少した主な観光地は、国営ひたち海浜公園(ひたちなか市)103万人減、茨城空港(小美玉市)80万人減、イベントでは水郷潮来あやめまつり(潮来市、開催中止)が72万人減、土浦全国花火競技大会(土浦市、中止)が65万人減。 市町村別の入込客数は、2位が大洗町(昨年1位)で271万5000人、3位は阿見町(同6位)の265万3000人、4位は笠間市(同5位)の262万6000人、5位はひたちなか市(同2位)の198万4000人だった。3ランクアップの阿見町はアウトレットモールの集客が大きい 1人当たりの観光消費額は、宿泊が2万3617円(19年は2万5023円)、日帰りは3763円(同3559円)だった。利用交通手段は圧倒的に自家用車が多く全体の84.8%を占めた。(山崎実)

コロナの次は格差解消だ 《ひょうたんの眼》41

【コラム・高橋恵一】9月15日現在の65歳以上の高齢者人口の推計値が発表され、総人口に占める割合は、29.1%とされた。2位のイタリア(23.6%)、3位のポルトガル(23.1%)を大きく引き離して「金メダル」だ。人類の悲願である長寿のおかげなのだが、どうも世間の雰囲気はマイナーなイメージで捉えているようだ。 首相の引退や総選挙を控えて、コロナ対策からこれからの日本のあり方が議論されている。コロナ禍は、世界中に経済社会の課題を突き付けたが、単にコロナ感染流行の前に戻ればよいというわけではなかろう。コロナ禍で露呈した課題は、感染症対策のお粗末さだけでなく、社会生活のあり方、会社・職場でのあり方、学校生活のあり方、病院や施設のあり方も問われた。 しかも、それぞれの分野での雇用・賃金の格差、休業や休暇制度の格差、非正規雇用など、社会の弱い分野に顕著に現れた。しかも、面倒なことに、地球温暖化やプラスチックごみよる膨大な海洋汚染、国際社会が求めるSDGs、巨大地震や豪雨洪水への備えなど、後回しにできない課題が山積みなのだ。 人間は、どうしても未来に希望を持ちたいので、足元のコロナ禍の見通しも対策も不十分なまま、コロナ後の施策がにぎやかである。 超々高齢社会の社会保障費割合の縮減、デジタル化の推進による経済活力の拡大、規制改革の推進など、華々しく経済再生復興策が提唱されるのだろう。マイナンバーカードの100%保有、キャシュレス決済の推進、ワクチン接種証明のスマホ利用などなど、IT技術を最大限に取り込んだ諸改革が進められようとしているのだ。 日本経済の最弱点は個人消費の弱さ

秋最大のごちそう 新米 《県南の食生活》29

【コラム・古家晴美】ようやく猛暑の盛りを過ぎ、実りの季節が到来する。採れたての栗や落花生を目にされた方も多いだろう。今回は秋最大のごちそう、新米を取り上げてみたい。 現在、米といえば新潟県や北海道、秋田県を思い浮かべるが、令和2年の水陸稲収穫量を見ると、茨城県は全国7位で、堂々ベストテン入りしている。県南地域でファンが多い地域ブランド米と言えば、「北条米」だろう。 筑波山麓の桜川沿いに広がる平野には、筑波山の岩石のミネラル分をたっぷり含んだ水も注ぎ込んでいる。つくば市北条、筑波、田井、小田の4地域で生産されているこの米は、適度な粘りと甘み、冷めても照り輝きと旨(うま)味が失われないことから、最上ランキング特Aと評されるのもうなずける。 この地域の明治時代の記録によれば、米は農業産出額の7割以上を占めていた。そして、様々な野菜、果物、畜産が生産経営されている現在でも、つくば市の農業産出額を見ると、2位の野菜を大きく引き離し、米が1位に輝いている。立派な米どころだと言える。(令和元年市町村別農業産出額=推計=) 生産者に敬意を表していただく ところで、この時期、何段階かで収穫の労をねぎらうご馳走が作られてきた。稲刈り開始にあたり、赤飯や混ぜご飯を食べる(土浦市、つくば市、麻生町)。また、稲刈り完了を祝うのに、赤飯やぼたもちを作り、神棚や仏壇に供え、手伝ってもらった家には重箱に詰めて配る(土浦市、つくば市、牛久市、麻生町)。あるいは、新米で油揚げ、人参、かんぴょうが入ったカリアゲメシを炊き、神棚、仏壇、オカマサマに供えた(つくば市)。

つくば駅周辺 商業地、住宅地とも7年連続県内1位 21年地価調査

茨城県は21日、2021年の地価調査結果を発表した。県内で最も地価が高かったのは商業地、住宅地いずれもつくば市吾妻のつくば駅周辺で、7年連続1位となった。商業地は上位5位のうち2地点をつくば市内、住宅地は4地点をつくば市内が占めた。 つくば市(調査地点46地点)全体では、全用途平均変動率は前年より0.8%上昇し、0.1%下落となった前年から上昇に転じた。0.8%上昇は、守谷市と並んで県内で最も高い上昇率となる。 市全体の平均価格は1平方メートル当たり8万900円で、前年同様、守谷市に次いで県内で2番目に高い価格となった。 用途別では商業地(7地点)の平均価格は16万9400円で、2.9%上昇(前年は1.2%上昇)、住宅地(36地点)の平均価格は6万8900円で、平均変動率は0.3%上昇(20年は0.3%下落)した。工業地(2地点)は2万2600円で2.8%上昇(同0.7%上昇)した。 順位はいずれも昨年と同じ。1位は7年連続 商業地は調査地点7地点のうち6地点で地価が上昇した。上昇地点について県は、TX研究学園駅及びつくば駅から徒歩圏内の商業地域に位置しており、研究学園駅から徒歩圏内は、宅地分譲が進展し、背後住宅地の人口が増加していることに加え、新規店舗の立地が見られ、繁華性、集客力が向上していることから土地需要が高まっているとしている。つくば駅から徒歩圏内については、クレオに商業施設がオープンしたほか、駅近隣エリアにマンションが建設中で、背後住宅地人口の増加、繁華性や集客力の向上が見込めることから土地需要の高まりが続いていると分析している。