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浅井和幸

《続・気軽にSOS》64 低気圧と不安と

【コラム・浅井和幸】梅雨の真っただ中。じめじめして憂鬱(ゆううつ)な人も増えているのではないでしょうか。古傷が痛んだり、喘息(ぜんそく)がひどくなったりということもあるかも知れません。 私の知り合いにも、これらの症状を持たれている方がいます。ある人は、遠い南の海に台風などが発生して日本に近づいてくるとき、どんどん気圧が低くなっていくとき、心身ともに不安定になって一番苦しいそうです。低気圧や台風が自分の住んでいるところに居座ってしまったら、調子が悪いのは確かだけれど、悪いなりに安定するからまだマシなどと言っていました。 雨が降るときに心身の調子を崩す人たちに上記のことを伝えると、そこまで細かく気にしたことはなかったけれど、そうかも知れないという回答が返ってきます。 雨だろうが低気圧だろうが、関係ない人にとっては、そんなものは気のせいだろう済んでしまうかも知れません。しかし、インターネットで「低気圧不調」や「天気痛」などのワードを検索してみるとよいでしょう。意外と不調に悩まされている方が多いことも分かるかも知れません。実際、大学病院内に「天気痛外来」というものもあります。 さすがにここまでくれば、医学的に、生理学的に、体調に天気が関係してくることは分かりますよね。もちろん、体調に不具合が生じれば、精神的、心理的にも不調をきたしても不思議ではありません。 安心感を得る心理的な対処法

《続・気軽にSOS》63 浅井心理相談室の「あるあるネタ」

【コラム・浅井和幸】お陰様で19年目を迎えた浅井心理相談室。日常の些細(ささい)なことから、複雑で重い内容まで、様々な相談を受けてきました。 睡眠時間を確保できない時期が初期にあり、昼食をとって臨んだ午後一のカウンセリングで、クライエントが話をしているときに一瞬コックリしてしまったことがあります。今思い出しても、冷や汗ものの経験です。今回は、相談室での、そのような「あるあるネタ」をお届けします。 <その1> カウンセリング料を受け取り忘れて、お互いが謝る変な光景。カウンセリング料は、相談終了時に手渡しでいただきます。喜怒哀楽(きどあいらく)交じりに悩みを話した後のクライエント。真剣にそれを聞いてアドバイスをする私。相談終了後は、ホッと気が緩みます。 次回の予約を受け、次を考えつつ、「お疲れさまでした。気を付けてお帰り下さい」と別れた後、ふと料金をいただいていないことに気付きます。そして、駐車場まで走って、料金をいただく。 クライエントは、申し訳なさそうに謝ります。いやいや、浅井が請求することが筋で、それを忘れていましたと謝ります。気付くのが遅く、電話でお伝えしたり、次の相談時に話をしたり、すっかり忘れていてクライエントから指摘されたり。このうっかりは、今もあります。というか、これから頭がぼけていったら、増えちゃうのかな?

《続・気軽にSOS》62 職と住まいを失ったある男性

【コラム・浅井和幸】男性は孤独で生きてきた。家族との連絡も途絶え、友人もいない。アルバイトをして暮らしていたが、真面目に働き、貯金はなくとも、ぜいたくをしない彼にとっては不自由ない暮らしだった。もうすぐ30歳になることを考え、正社員として働きたいと考えるようになった。たまたま、ある職人の下で働ける機会を得た。 真面目に働いて貯金もしていくぞと意気込んだが、2回ほど働いた後、職人の携帯に連絡してもつながらなくなった。下請けのまた下請けのようなところで、新型コロナウイルスの影響で仕事がなくなったのかもと考えた。訴えて時間を使うより、これからを考えて動こうと思った。 収入がなくなり、仕方なく原付きスクーターとわずかばかりの荷物で、ほぼホームレスの状態になった。少しだけ手元にあったお金で、ネットカフェでシャワーを浴びることもあったが、ほとんどは野外で寝泊まりした。体力に自信があったので、この状況が絶望するほどの苦しみではないが、このままではいけないので何か方法はないか考えた。 ネット検索をして、たまたま居住支援法人という住まいを相談するところを見つけた。人にだまされることが多い人生だったが、その取材記事のようなネットのページを見て大丈夫だと思って電話をかけてみた。 住む場所が決まり 新生活が始まった 穏やかな口調で電話に出た居住支援法人の男は、こちらの状況を聞き、対処法をいろいろと考えているようだった。「今日は金曜日で17時をかなり過ぎている。近くの行政窓口に行けるのは月曜日になってしまうね」と言ったその居住支援法人の男は、「いますぐ動くことは可能ではあるけれど、明日まで今の状況でも生きていられる?」と聞いてきた。

《続・気軽にSOS》61 プラスのストローク

【コラム・浅井和幸】先日、懐かしいクライエントAさんから電話がありました。緊急事態宣言が出されている状況の中、今は大丈夫だけれど、この先、どうなるか分からない不安が大きくなった。仕事も生活も今は安定しているけれど、今後、いつ仕事がなくなるかもしれないし、誰ともつながりが無くなってしまった場合を考えると、どうしてよいか分からないと話してくれました。 ちょっとした世間話をして、私が現在している居住支援の話もしました。最悪、手持ち金も、つながりも、仕事もなくなったとしても、私の携帯番号さえ知っていれば何とかなりますよ。お世辞にも豪華とは言えないけれど、住む場所と腹いっぱいの食べ物を提供しますよと、私はお伝えしました。 Aさんは、相変わらず私が、つくばで、茨城で活動を続けていることだけで、とても勇気が出てありがたいと言ってくれました。もちろん私も、そのように言ってもらえて、とても嬉しくて、これからも頑張っていける、とても勇気づけられた―と感じました。 心地よい気分でいた方がよい 心理療法の理論の一つに、交流分析と呼ばれるものがあります。20世紀の中ごろに、精神科医のエリック・バーンによって提唱されました。その中に、プラスのストロークというものがあります。簡単に言うと、心地よいやり取りということです。 私たちはともすると、こんな嫌なことを言う私でも、受け入れて欲しいという願望を相手に押し付けてしまいがちです。自分の悪いところや、弱いところを受け入れてもらえることは、安心感につながります。それ自体は悪くはありませんが、それを多用してしまい、受け入れてもらえない場面で、不快感が大きくなり、相手を責めてしまいます。

《続・気軽にSOS》60 コロナ禍 このイライラをどこに

【コラム・浅井和幸】緊急事態宣言が、茨城も含む全国に拡がってから2週間が過ぎました。さらに延長をしなければいけないという意見が強く、期間延長の動きも出てきました。自粛、自粛。人は物事を制限されると、大きなストレスを感じることになります。 さらに、経済的な困窮が追い打ちとなり、自殺者の増加が懸念されます。新しい情報が出続け、多すぎる情報に、何が正しいのか分からず混乱します。いつもとは違う生活サイクルも、ストレスとなります。 そうしたとき、安心して大丈夫だよと言ってくれる根拠のない情報を探し、白黒がはっきりとした、分かりやすい解決方法のデマに飛びついてしまうのです。また、いつもと同じ行動が安心感につながりますから、いつものパチンコ屋とか、スーパー、ホームセンターに出かけたりしてしまうのです。 とても嫌なことが起きている、こんな悪いことが起こっているのは、悪い奴がいるからだ、そいつらのせいで、自分はこんなに苦しんでいる―と考え、「悪者」と決めつけた人を叩くことで、不安を解消しようという言動につながります。正義でいれば、悪いことは起こらないと教えられて育ちますから。 陰で愚痴を言うぐらいならばよいですが、実際の行動に出てしまう人もいます。感染者(デマもある)の家に石を投げ込むなどの悪質な嫌がらせです。そのような行動を起こす人は、自分が正義の行動をしていると考えていることがあるので、たちが悪い。 とんでもない奴がいるものだ…と、ほとんどの人が思うことでしょう。しかし、多かれ少なかれ私たちは、このような性質を兼ね備えているものなのです。そのことを肝に銘じて、周りの言動を理解することが大切です。そのような輩(やから)からは離れることが得策です。なので、それを考え続け過ぎて、嫌な言動に囚われ過ぎないようにしてください。

《続・気軽にSOS》59 「情報パンデミック」という言葉

【コラム・浅井和幸】「情報パンデミック」という言葉が、ラジオや新聞から私の目と耳に入ってきました。「パンデミック」とは「広範囲に及ぶ流行病」とのことですから、「情報」が「広範囲に及ぶ流行病」のような状況をつくり出しているという意味ですね。 うまく伝言ゲームができずに広がるうわさ話。一見科学っぽいことを言って、宣伝したり、先導したりする―。不安が大きいと、このようなデマに正義感や愛の気持ちで加担してしまいやすくなります。「今は紙不足だから、ティッシュペーパーをたくさんストックした方がよい」「河原の石を風呂に入れると殺菌になる」という具合に。 それは、政府や知事になるような、頭のよい人たちですら起こしてしまいます。人は誰しも、不安が大きくなると、物や情報を手元に置いて安心したくなるものです。さらには、自分が持つそれらの物や情報を、人に認めて欲しくて行動してしまうのです。 今は、誰もがどこでも、多くの人に情報発信ができるようになっています。間違うことは仕方のないことですが、感情的過ぎないかを顧みることは大切ですよね。 不安が強くなると弱いものをたたく 不安感を利用して、「注目」「名声」「金」などを手に入れようと、謀略をめぐらして忍び寄ってくる人が間違いなく現れます。安心するためにそれに飛びつき、それがデマだと知らされて、さらに不安が大きくなります。

《続・気軽にSOS》58 「過ぎる」感情のデメリット

【コラム・浅井和幸】前回のコラムでは、不安にも憂鬱な気分にもポジティブな意味があるということをお伝えしました。ネガティブに思える感情や感覚も、適切に作用すれば、それは大きな利点があるものです。しかし、「過ぎる」感情や感覚は、短期的にも長期的にもデメリットが大きいので、対処が必要ということになります。 例えば、不安についてです。不安は、これから起こるかもしれない「嫌なこと」に対する警報機のようなものです。それは、まるで「この先に行ったら電車にひかれてしまうよ」と呼び掛けているような作用です。 踏切の警報機の音は、人が聞いて嫌だなと感じる不協和音が使われているらしいですね。他の警報音も、なんとなく気持ち悪いな、怖いな、不安だなと感じる音になっているはずです。 不安があるから、なんとなく嫌な感覚だから、そこを避けられるわけですね。ですが、電車も来ないのに、この警報機が鳴りっぱなしだったらいかがでしょう。もしくは、まだまだ電車は遠くかなたで、踏切に到着するには1時間以上もかかるような時点から、遮断機が下り、警報機が鳴り続けたらどうでしょうか? この文章を書いていて、具体的に想像してしまい、今、私は背筋が「ぞくっ」とするような感覚です。とても怖い状況であるからです。 不安をコントロール

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《吾妻カガミ》90 つくば市長選 際立つ2候補の違い

【コラム・坂本栄】今秋のつくば市長選挙に、2期目を目指す五十嵐立青さんに挑戦すると、富島純一さんが立候補を表明しました。コロナ禍で選挙戦にならないのではないかと心配していましたが、42歳の五十嵐さんと37歳の富島さんの激突になりそうです。以前のコラム「つくば市長選 2つの風景」(7月6日掲載)でも触れましたように、政治家も政策も選挙で鍛えられます。若い2人のバトルが楽しみです。 挑戦者・富島さんの出馬会見については、「会社経営の宮島純一氏が出馬表明」(8月31日掲載)をのぞいてください。現職・五十嵐さんの続投表明については、「2期目へ、五十嵐市長が立候補表明」(2月27日掲載)をご覧ください。この間6カ月。選挙の構図がやっと整いました。 挑戦者と現職者 それぞれの強み 挑戦者にとって有利なのは現職の「失政」を突けることです。経営者歴16年の富島さんは記者会見で、五十嵐さんの失政(総合運動公園問題が未解決、TXつくば駅周辺整備が停滞など)を念頭に置いて、「1期4年で結果を出せないのでは動きが遅い。経営では毎年結果を出さなければ倒産してしまう」と、現職の力量に疑問を呈しました。 思い起こすと、4年前の選挙では挑戦者だった五十嵐さんも、前市長の失政(総合運動公園計画を発表→市民の多くが計画に反対→住民投票の結果を受け計画推進を断念)に乗じて、前市長の後継候補を破りました。攻めの富島さんが、今度は守りの五十嵐さんをどう攻めるのか、注目しています。              出馬表明が遅れた富島さんにとって不利なのは、現職の五十嵐さんに比べ、知名度が低いことです。しかも、新型コロナ禍で大集会や小会合が思うように開けませんから、圧倒的に不利です。富島さんはこうしたハンディキャップを、印刷物の大量配布、ネットの活用などでカバーするそうですが、十分な展開ができるのか、こちらも注目しています。

国勢調査の世帯一覧表を紛失 つくば市の調査員

つくば市は20日、同市沼田地区を担当する国勢調査の調査員が、25世帯の個人情報が記載された調査世帯一覧表1枚を紛失したと発表した。 市によると一覧表には、世帯主の氏名と住所、家族の男女別の人数などが記載されていた。 市企画経営課によると、調査員は19日午後10時ごろ、自宅で、国勢調査の書類の確認をしたところ、調査世帯一覧表1枚が無くなっていることに気付いた。自宅などを探したが見つからなかった。 翌20日朝、前日に調査票を配布するため訪問した世帯や移動経路を探したが発見できなかったことから、同日午前9時30分ごろ、警察に遺失届を出した。 市は21日以降、一覧表に個人情報が記載されていた世帯に状況を説明し謝罪するとしている。 さらに再発防止策として全調査員と指導員に対し、調査書類や個人情報に細心の注意を払い、書類の管理徹底やマニュアル遵守について改めて注意喚起するとしている。

土浦一高~筑波大卒の若手落語家 リニューアルオープンの幕開け飾る

【相澤冬樹】土浦市制施行80周年記念・クラフトシビックホール土浦(※メモ)リニューアルオープン記念と銘打って、最初のステージとなる「立川流若手落語家二人会」が19日、同市東真鍋町の同ホールで開かれた。幕開けを飾ったのは、地元、県立土浦一高と筑波大学を卒業した立川志のぽん=本名・広瀬敦さん(43)。コロナ禍で「辛抱の時」を過ごしての帰郷公演は、チケット完売の拍手喝采で迎えられた。 3密対策し高座に 楽屋で取材に応じる立川志のぽん=同 「二人会」は市産業文化事業団と同市民会館自主文化事業運営委員会が主催するホール落語。会場の小ホールは座席数288だが、新型コロナウイルス感染防止のため、前方2列を空席とし、3列目以降も間を1席ずつ開けて120席定員でチケットを販売、早々に完売した。 出演は立川志らく門下の立川志ら玉(真打)、立川志の輔門下の志のぽん(二つ目)の2人。それぞれ「目黒のさんま」「谷風情相撲」(志ら玉)、「金明竹」「粗忽の釘」(志のぽん)の2席ずつを演じた。

【霞月楼コレクション】8 一色五郎 地域を愛し地域に愛された彫刻家

塑造のように柔らかな写実表現 霞月楼にある「白鷺(しらさぎ)」は、一色五郎が土浦に帰郷した頃の作品だ。冠羽や尾羽の優美な曲線など、実物かと見まがうほど写実的に表現されている。これは油粘土や石こうで造った原型を、星取り法という技術で木彫に起こしたため。 「白鷺」1947年頃、木彫彩色、高さ26cm、霞月楼所蔵 星取り法は明治期に導入された西洋の石彫技術で、東京美術学校で木彫に応用され広く普及したが、戦後は顧みられなくなった。「身近に残るものではこの白鷺くらいか。素晴らしい出来で僕も大好きな作品。大事にされているのはありがたい」と、五郎の子で牛久市在住の彫刻家・一色邦彦さんは話す。 ちなみに五郎の妻・千代子の実家は当時土浦で名をはせた料亭・日新楼で、霞月楼からは本家筋に当たる。