【コラム・奥井登美子】「異常気象が治まりますように」。オゾンの神様、二酸化炭素の神様、いろいろな神様にお祈りしなければならないと思ったけれど、どうしていいか解らないので、桜川市真壁の五所駒瀧神社にお参りにいってみた。

この神社は歴史のある神社で、巨木の森に囲まれ、敷地の中の苔むした石が千年の歴史を語っている。ここへ来ると、いつも自然の懐に抱かれたような、しみじみした豊かな気持になれるのであった。

しかし、今回は違っていた。苔むした大小の石がいたるところに乱雑に散らばっていて、苔がむき出しになってしまっている。広い境内の中が何か異常なのだ。宮司の奥様、桜井まゆみさんが説明してくれた。

「今年の夏の異常気象で、山の木の実がいつもと違うのでしょう。イノシシが子供を連れて、こちらの生活にお構いなく出てきて、田んぼの稲は全滅。境内の石をひっくり返して、中のミミズを採って食べたり、柿の実をもいだり、メチャメチャです」

「こんなに、イノシシに荒らされた年は初めてで、何だかとても怖いです。野生のイノシシだけに、何か地球の異常を感じているのかしら」

とうとうクーラーに頼る

今年の夏は、1946年の気象観測以降、最も暑い夏だったそうである。私も生れて初めて体温より高い気温を体験し、今まで自宅には外壁にツタを這わせてクーラーをつけずにがんばってきたのに、生命の危険を感じて、とうとうクーラーをつけてしまった。テレビのニュースでも、熱中症の危険をしつこく報じていた。

日本人の老若男女すべての人が、生命を守るために、異常気象と防災を意識しながら生活しなければならない時代に入ってしまった。これは日本の歴史始まって以来はじめてのことである。オゾン層の破壊、海水温の変化など、地球全体を視野に入れて行動しなければならない。

もうすぐ、つくばで「世界湖沼会議」が始まる。われわれは日常生活の中で何をすればいいのか真剣に考えなければならないと思う。(随筆家)