【コラム・室生勝】健康寿命は、国民生活基礎調査で「あなたは現在健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」という質問の回答を資料にして算出されている。前回のコラムで「平均寿命と健康寿命の差は、要支援あるいは要介護の期間」と書いたが、介護認定の判定によるものではない。

「あなたは現在健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」に対する回答は、回答者の主観が入るので、「ない」と回答した人の状態を第3者がみれば、「要支援」状態の人もいるかもしれない。

民生委員から聞いた話だが、介護認定を受けるように勧めても、自分は誰の世話にならなくても生活できると、認定を拒否する後期高齢者のひとり暮らしや夫婦がいる。3カ月後に訪問してみると、「要支援」どころか、「要介護」状態になっている場合もあるそうだ。

介護認定で要支援あるいは要介護と判定された人たちには担当のケアマネジャーがいて、少なくとも月1回の訪問時に、高齢者本人の身体状況や生活ぶりを観察でき、必要な介護保険サービスを勧めることができる。場合によっては、ケアマネジャーの判断で電話やときどきの訪問で生活状況を観察できる。

民生委員の話にあるような後期高齢者を1~2週間ごとに訪問して、生活状況を把握する体制が必要である。つくば市は、6月23日のコラムで紹介した社会福祉協議会の「地域見守りネットワーク事業」に本腰を入れるべきだと思う。

民生委員 ふれあい相談員

各地区で、見守りチームの「ふれあい相談員」と民生委員はじめ地域住民との協働により、近隣の人と接触がない、ひとり暮らし後期高齢者や後期高齢者夫婦世帯を社会的孤立と閉じ込もりから開放しているのを耳にする。

民生委員は、ひとり暮らし高齢者や高齢者夫婦世帯に対する年1回の訪問調査の際、顔を合わせず会話もできなかった高齢者には、社協の宅配食事サービスを勧めている。宅配食事サービスは会話の発端となり、次回の訪問につながることが多いという。

民生委員は宅配食事の感想を聞くのをきっかけに、さりげなく困りごとを聞き出すようになる。民生委員の紹介で、ふれあい相談員の訪問を受け入れてくれる場合がある。決して、急いで介護認定を受けるように勧めてはいけない。介護認定を受けなくても利用できる公的サービスを説明しよう。

民生委員とふれあい相談員、できれば地域住民の有志は、社会的孤立や閉じ込もり、認知症を疑う高齢者との接し方を学んでほしい。この3者の協働チームを各地区で編成できるシステムを考えよう。

つくば市は社協と一体となって、このシステムつくりに取り組むべきだと思う。すでに、全国各地域で類似した試みが実績を挙げている。(高齢者サロン主宰)