《吾妻カガミ》38 TX延伸 クールな姿勢とホットな議論


【コラム・坂本栄】前回はコラム後半でTX茨城空港延伸を取り上げましたが、字数の制限もあり尻切れトンボになってしまいました。今回も「わがまま」なトーンを維持しながら、延伸問題についていろいろな視点を提供したいと思います。

前回、常磐線交差→空港延伸について「首長の間には温度差があるようです」と書きました。もう少し具体的に言うと、五十嵐立青つくば市長は同市と首都圏を結ぶ鉄道としてのTXを第一に考えていますから、つくば市以北に延ばすこと(北部延伸)についてはクールです。市民もこの点については冷めていると判断しているようです。

中川清土浦市長は、同市と学園市をつなぐ鉄道には関心を持っていますが、建設コストを考えて延伸の音頭を取ることには慎重です。言い出しっぺ(主唱者)の負担は大きくなると考えているからです。経営者市長としては当然の判断でしょう。

今泉文彦石岡市長は土浦・つくば市長に比べるとホットです。昨年の市長選挙(再選)ではTX北部延伸を公約に入れました。「延伸で常磐線と交わるのは石岡市内?」といった市民の思惑に応えたのでしょうが、延伸が政治的ブームになっていた(県知事選では勝者敗者とも公約)という事情もあったと思います。

でも主唱するには荷が重いと考えているようです。石岡の田園地区には気象庁地磁気観測所があります。この施設は電車から漏れる直流電気を嫌います。守谷以北を走るTXは交直両用になっていますから、電流の問題は解決済みです。しかし、両用車は直流車に比べ1割以上高くなるという問題があります。コスト問題からすれば観測所移転がベストですが、田園風景(観測所はその証明)を愛する石岡市長は移ってもらうことに迷っています。

いくつかの視点

ある交通評論家は、TXを常磐線とクロスさせる重要性を指摘しています。鉄道インフラというものは事故などを想定して代替ルートが必要であり、何カ所かで別の線に交わっていた方が使い勝手がよいという考え方です。強く同意します。

またある経営評論家は、いずれ羽田空港・成田空港がパンク、首都圏第3空港が必要になると予想し、茨城空港はこれにピッタリと言います。首都圏空港ともなれば、航空機利用前後の移動手段として鉄道は必須になります。本格的な空港にするには、スクランブル用の百里基地と折り合えるかが問題になりますが、第3空港の視点にも強く同意します。

さらにある経済評論家は、茨城空港周辺に航空機産業を誘致し、小美玉市を航空機ビジネスのメッカにしたらどうかと言います。三菱重工グループのMRJをリード役として、航空機は自動車に次ぐ日本の代表産業になると期待されています。防衛機器・航空機記者OBとして、この展開にも強く同意します。(経済ジャーナリスト)