コラム・冠木新市】つくば駅を中心に東西南北の道路に囲まれた長方形の場所を「つくばセンター地区」と呼んでいる。しかし、昨年あたりから「中心市街地」との表現が多用され、現在では2つの名称が入り混じり、紛らわしい状況である。

そんな中、つくばセンター地区の中央公園で継続的な賑わいや魅力向上のための実証実験が8月からスタートした。「つくば市学園地区市街地振興室」が活動の主体のようで、内容は3つある。

1 てぶらでバーベキュー:8月4日~9月30日の土日祝日、10:00~17:00。利用料2,000円。公園脇の道路沿いの林の中で、計19回実施予定。
2 まちなかカヌー体験:8月4日~9月30日の土日祝日、10:00~16:00。利用料500円(30分)。市民ギャラリー横の人工池で行われる。
3 じゃぶじゃぶ水遊び:レストハウス北側の広場と池を子どもたちに開放する。

私は、8月4日(土)、筑波学院大学コミュニティカレッジ『芸者文化史Ⅱ/水辺の花街の構造』の講義終了後、猛暑の中央公園を歩いてみた。元気に水遊びする子どもたちがいた。カヌーは5艘のうち1艘が動いていた。バーベキューはテーブルが30席用意されていたが、3組が楽しんでいた。

翌日も団員と行ってみた。バーベキューを楽しもうと思ったからだ。手ぶらで行ったが、実は材料は持ち込みで、場所と道具を借りるシステムだった。「てぶら」は誤解を招くタイトルだ。テーブルは5席に減っていた。企画運営はナムチェバザールというアウトドアグッズの会社だった。ちなみに、カヌーは2艘動き、水遊びに子どもはいなかった。猛暑が原因だろう。

「バグダッド・カフェ」

私がこのイベントを知ったのは、「つくばセンター地区活性化協議会」の『打ち水遊びで夕涼み』のチラシである。表には「公共空間活用実証実験つくばペデカフェプロジェクト」とあり、協力はつくば市生活環境部。チラシの裏に中央公園の企画が載っていた。いろいろな組織がセンター地区活性化の実験を重ねている。

強烈な日差しを浴びて歩いていたら、映画『バグダッド・カフェ』(1988)の冒頭シーンが蘇った。アメリカのルート66の砂漠の車道をドイツの中年女性がトランクを引きずって歩く。画面は黄色っぽく、時々暗くなったり明るくなったり。カットのつなぎも予想を裏切る。

灼熱の画面が続くが、何故かさわやかな空気が流れる。それは、夫と喧嘩別れしたドイツ人女性と、自分勝手な家族に年中わめいているカフェ兼ホテル経営者の黒人女性とが、徐々に心を通じ、仲良くなるお話だからだ。

後に作られた「完成版」は説明し過ぎで、「ディレクターカット版」では原色の色彩が普通になっていて興味半減だった。だが、しかし、実験映画といえる名作だった。

私は妄想する。センター地区には13軒以上のカフェがある。それぞれが実験をしたら面白いことになる。実証実験の要は、仲良く連携することだと思う。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)