《猫と暮らせば》3 「ラン活」を支えるものづくり

写真右が小2女児、左が小6女児のランドセル。肩ベルトに付けられたのは防犯ブザー

【コラム・橋立多美】来春の新入学に向けてランドセル商戦が熱を帯びている。夏休みに帰郷する孫のために財布のひもを緩める祖父母は多い。

最近は4、5月ごろから翌年の新入学に向け、好みのランドセルを探す「ラン活」がスタートする。小学校低学年の児童を持つ保護者を対象にした調査によると、半数以上が検討のためにランドセル売場に4回程度出向き、夏までに購入を決めている。

かつては七五三商戦が終わった後の11月に売場が開設され、そこからがランドセル販売の舞台だった。市場を一変させた原因は少子化だ。少ない子や孫の一大イベントに親と祖父母が出費を惜しまず、高級素材を用いた軽くて丈夫な商品が登場した。カラフルな色で細部に工夫を凝らした「新入学モデル」が毎年生まれている。

ランドセルへの思い入れは金額に表れている。日本鞄工業会によると、2014年の平均価格は42400円。子どもに人気のファッションブランドが販売するランドセルだと8万円台の商品もざらだ。

廃業する中小企業も

しかし、好調に見える工業会に迫りくるのが超少子化と、生産を担っている中小零細業者の廃業だ。

総務省の統計を見ると、17年4月時点の子どもの数は前年より17万人少ない1571万人。1982年から36年連続の減少で過去最低。減少は今後も続いていくと予想される。

一方で、後継者不足などで年に5万件の中小企業が廃業している(経済産業省まとめ)。ランドセル業界には大手メーカーもあるが、高齢化や後継者不在に加え、個性を競う市場に対応し切れずに廃業に追い込まれる中小企業があるという。

団塊世代の私は下校時に道草を食い、置き忘れたランドセルを慌てて取りに戻ったことがある。卒業時には型くずれして傷みも相当あった。

片や、今年6年になった孫のランドセルは入学した当時の形を維持している。孫はモノを大事にする性格ではないし、玄関に放りだしておくタイプ。確かな技術に裏打ちされた日本の「ものづくり」の優秀性が見てとれる。(ライター)