【コラム・及川ひろみ】宍塚の里山保全、特に竹林の保全活動には中学生の活躍が欠かせませんが、今回は、中学生が初めて宍塚で活動した時のことをまとめてみました。2006年7月、土浦四中の2年生、総勢216名が2回に分かれ、宍塚で体験学習を行いたいとの希望が寄せられました。活動時間は2時間です。

大勢の中学生達の活動・学びとして考えたことは、①放置されたマダケ林の竹を伐採し整備する②孟宗竹の根を掘り出し竹の根を観察する③池の生き物を観察する④荒れた土地を開墾し果樹園を造る―のメニューでした。4グループに分かれ、全員がどの活動にも参加できるスケジュールを立てました。

まず中学生全員に、昔、マダケはどんなに役立つものであったかを、1㍍ほどの蛇篭(じゃかご)のミニチュアを使って説明。マダケで編んだ蛇篭は、時に十数㍍の長さに作られ、蛇篭に河原の石を詰め川底に置き、川の流れを変えたり、堤防の決壊を防ぐために使われます。竹が暮らしに無くてはならないものであったことを話し、今は使われなくなったマダケ林が放置されており、整備が必要なことを伝えました。

その後、グループに分かれ活動、マダケ林の整備に大きな成果を挙げました。孟宗竹の根は、掘り出すとなると、その土壌は細い根によって構造が変わり(団粒構造が破壊され)硬く締まることから、大変難儀しました。216人全員がスコップで掘り起こしましたが、結局掘り出すことはできませんでした(その後、会員が掘り上げ、小川で根に絡まった土を落としました)。

体験の教育効果

池では、野生のハス、花や葉を手にし、美しい花に見入り、不思議な感触の葉に水をかけると水玉が躍るように動く様などを観察。ブラックバス・ブルーギルを解剖し、心臓・胃なども観察しました。荒れ地は、小木を掘り出し果樹園に。今では、ミカン、スモモ、ウメなどが、ところ狭しと植わっています。

やる気満々でやって来た彼ら、暑い中でしたが、生き生きと活動しました。今は大人になった、昔の中学生がヒョッコリ大池に現れ、当時の思い出を聞くことがあります。結構大変だった活動を懐かしく語る彼らを見ると、体験以上の教育があるだろうかとの思いになります。

中学生たちがこの活動を行うに当たり、地主に許可を得ることは言うまでもありません。この活動のあと、休眠状態にあった土浦四中科学部が宍塚の竹林で活動を開始、素晴らしい成果を生み出しました。このことは次回報告します。(宍塚の自然と歴史の会代表)