《宍塚の里山》18 虫媒花 ハンゲショウ(半夏生)

五斗蒔谷津のハンゲショウ群生地

【コラム・及川ひろみ】ハンゲショウはドクダミ科の多年草で、湿地に群生する植物です。宍塚では五斗蒔谷津に見事な群生地があります。6月中下旬から7月にかけて、花が咲きます。花と言っても花弁がない花穂状で、目立ちません。

しかしこの花、昆虫が花粉を運ぶ虫媒花。虫を集めなければなりません。そこで花に近い葉の半分を真っ白に染め、昆虫に花の在処を伝えていると言われています。葉の白さは格別で、遠くからでも目立ちます。そして白い葉は花が終わると緑色に戻ります。

ハンゲショウ(半夏生)の名前の由来は諸説ありますが、葉が半分化粧をしているように見えることから「ハンゲショウ」になったと言われています。「片白草(カタシロクサ)」とも呼ばれます。

季節を表す言葉「半夏生」は、農家にとって、この日までに田植えを終える目安となっていたそうです。機械に頼る農業が普及するまで、梅雨のころ、人の手で一苗一苗植えられた田植え。その作業を終える目安の半夏生、今年は7月2日でした。

薬草 サンパクソウ

ハンゲショウはサンパクソウ(三白草)と呼ばれる薬草で、清熱、消炎、解毒、利尿、腫れ物などに効能があるそうです。ハンゲショウを折ると、ドクダミのような臭いがします(ドクダミほど強烈ではありませんが)。

さて、五斗蒔谷津のハンゲショウ。初めてこの谷津でこの植物を見たのは、25年ほど前のことです。五斗蒔谷津が田んぼであったころから、田の縁に見られたのではないかと思います(自生であるかどうかは分かりません)。そのころの群落はそれほど大きなものではありませんでした。

茨城大学農学部の黒田教授が2012年から谷津で調査を続ける中、ヨシやガマを刈り採った結果、今のような大群落になりました。群落はますます広がっています。ハンゲショウが群落を作るのは地下茎によるもので、根のような茎を縦横無尽に湿地帯に伸ばし、広がった結果です。まさに宍塚の見どころの一つになっています。群落を作っているところは泥深く、足を踏み入れることはできません。

この大群落、私たちの会が所有する森「「わくわくの森(ゼフィルスの森)」を過ぎた、五斗蒔谷津が一望できる所で、観察路から見ることができます。皆さま、土曜観察会に参加され、どうぞご覧ください。(宍塚の自然と歴史の会代表)