《映画探偵団》 9 センター地区 リブロとゲオの棚


【コラム・冠木新市】つくばセンター地区での楽しみの一つは、西武百貨店跡地前にある書店リブロQ’t店での立ち読みだ。入り口付近の店長の棚が充実している。本棚の一角3段に約70冊の本が並ぶ。哲学思想、批評、社会学、サブカルチャー、風俗、芸術など、大型書店でしか取り扱わない難しい本を店長(稲葉順氏)がセレクトした棚である。気になる何冊かを紹介すると…。

『祝祭の日々、私の映画アトランダム』(高崎俊夫著):これぞ映画マニアという本。『1937年の日本人 なぜ日本は戦争への坂道を歩んでいったのか』(山崎雅弘著):戦前の昭和文化にこだわる私には嬉しい参考書。

『昭和のノスタルジー解体 「懐かしさ」はどう作られたのか』(高野光平著)。そして『60年代が僕たちをつくった』(小野民樹著):戦後の昭和文化を批評した本で自分を客観視できる。

『ゾンビでわかる神経科学』(ティモシー・ヴァースタイネンほか):これは医学書だ。さらに『ゾンビ学』(岡野健著):ゾンビ映画史と観客の受容史などの解説本。そんなゾンビ史の横には『共食いの博物誌』『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』が置いてある。

硬軟取り混ぜた本の選びと関連本の配列の工夫に、遊び心が感じられる。この店長の棚に影響を受けそうだ。

『死霊の盆踊り』『エド・ウッド』

センター地区でのもう一つの楽しみは、国際会議場前の古着屋の奥にあるレンタル店ゲオ。ここのDVD棚には日本未公開作が隠れていて、何本も貴重な作品を見ることができた。コメディコーナーを眺めていたら、何十年も気になっていたカルトムービー『死霊の盆踊り』(1965)を発見。集団いじめを連想させるゾンビ映画は嫌いだが、この作品は借りて家で見た。

ホラー小説家が、恋人と夜のドライブに出て事故を起こし、墓場に迷い込む。すると、この世に未練を残して死んだ女性が次々に現れて裸踊りをするという、B級お色気映画。特典のメイキングで、脚本を担当したのは史上最低の監督と呼ばれたエド・ウッド。エドのことは、鬼才ティム・バートン監督のモノクロ映画『エド・ウッド』(1994)で知っていた。DVDを出して久し振りに見直した。

お話は、エドとモルヒネ中毒患者で落ちぶれた吸血鬼役者ベラ・ルゴシとの交流を描いたもの。エドが、孤独なルゴシのために次々出演作を作ろうとする。少年時代のアイドル、ルゴシのために必死に尽くす姿は、何度見ても心打たれる。介護映画と言ってもおかしくない作品なのだ。

ルゴシ急死の後、SF映画を撮影するエドは、製作資金を提供する協会関係者と度々もめる。怒り狂ったエドは酒場へ駆け込み、偶然、尊敬する監督オーソン・ウェルズと出会い、「夢のために闘え」と激励される。完成した作品には、エドがルゴシの姿を撮ったプライベートフィルムが挿入されてある。

見終わって、ふと、センター地区が輝いていた30年前に活動していた人たちは今何をしているのか気になった。元気にしているのだろうか。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)