【コラム・玉置晋】僕は英語を読めます。文章も多少書けます(辞書を抱えながらですけどね)。中学校から英語の授業があって、大学院修士課程を経て就職。そして今、2度目の大学院修士課程。論文を死ぬほど読み、宇宙における標準規格文書なんかも読んで、日本語にまとめ皆に説明したりして。

でも僕、英語を話せません。初めての海外は新婚旅行のハワイでした。コンビニで買い物をするのも涙目で、あまりの情けなさに離婚の危機でしたが、うちの奥さんの寛容さに救われました。英語を読んでいれば、そのうち話せるようになるさ!と、10年論文を読み続けましたが、状況は変わらず。

本状況から以下の結論が導きだされました。「英語を読める」「英語を書ける」ことと「英語を話せる」ことは別物である。

うちの奥さんは英語ぺらぺらです。助産師をしていて、外国の患者さんとも、冗談をかましながら会話しています。でも、時々、中学校レベルの単語のスペルがわからんといいます。

もう一度言います。「英語を読める」「英語を書ける」ことと「英語を話せる」ことは別物である。

「ちぐらっぽ」英語

僕は恥ずかしながら、英語を話せない宇宙業界人です。宇宙の仕事においては、海外の方と情報をやりとりすることも多いのは想像に難くないと思うのですが、そんな中で僕が生存して来られたのは奇跡に近いと思っています。

じゃあ、勉強しろよと、つっこまれそうですが、僕は知っています。日本語にあふれた日本国内で英語を話せるようになるためには、努力と根性と投資(時間、お金)を要することを。英語を使って仕事で活躍している人たちは、本当に寝る間を惜しんで勉強されている。

正直、彼等と同じ土俵で戦うのは、よい選択とはいえないということを肌で知っています。とはいえ、コンビニで泣かない程度の会話力がないのは、いかがなものかとも思います。以前、家の中で英語を公用語にしてみようと試みたことがあります。夫婦の会話がなくなり、大事なものを失いそうでしたので、1週間で中止しました。

うちの奥さん、英語ぺらぺらと書きましたが、本人曰く「ちぐらっぽイングリッシュ」(「ちぐらっぽ」とは茨城弁で嘘のこと)だそうで、まだまだブラッシュアップが必要と感じている様です。本コラムが掲載されているころ、彼女はハワイに短期留学中です。遊んでないで勉強するんだよ。(宇宙天気防災研究者)