《続・平熱日記》28 年の瀬と柑橘系


【コラム・斉藤裕之】今年はナリモノが良かったですねえ。カキなんかもよくできて、この季節だとユズやミカンが鈴なりになっているのをよく見かけます。というのも、お世話になっている保険屋さんのお母さまが、この辺りでいうところの「フクレミカン」、縁起を担いで福来ミカンなんて書くそうですが、その皮を使って美味しい七味を作ってらっしゃる。

ところが、昨年は裏年で、ミカンの確保に奔走されていたのを思い出すのです。ちなみにお母さまのお名前が「みよこさん」なので、「三四五の七味」という名前で売られています。この七味、ミカンの皮の風味が格別で、我が家では鍋の後の雑炊には欠かせないものとなっております。

ああ、鍋と言えば、長年使っていた土鍋にひびが入って水が漏れてしまうので、新しい土鍋をしばらく探しておりました。余談ですが、この土鍋、30年程前に廃業した東京の割烹で使われていたものでして、鍋自体に出汁がしみ込んでいるような気がしてよかったのですが…。

仕方なく、しばらくは打ち出しのアルミ鍋を使っていましたが、いざ探すとなかなか気に入ったデザイン、大きさのものが見つかりません。大きすぎず小さすぎず、土鍋然とした土鍋。あれこれ迷って、結局見つけたのはネット。なにもかもアマゾン川を網ですくう時代。

「今年はナリモノがよかった」

さて、今年も押し詰まって参りました。身の回りには直接関係なくとも、毎日のように国の内外でいろんなことがありました。とにかくあり過ぎて、今となっては「今年はナリモノがよかったねえ」なんて開き直って、のんきにコーヒーをすすっております。

牛久の人気カフェ。サイトウコーヒーのカウンターから見えるオレンジ色の実をいっぱいにつけたキンカンの樹を眺めながら、そんなことを感じました。ちなみにこのキンカンは質がよく美味い。口に広がるキンカン特有の風味に子供のころの風景がよみがえる、何ともノスタルジックな味です。オーナーに断れば、「どうぞ、どうぞ」とおすそ分けしてくれるはず。

平成も終わり、来年は菅官房長官がしたり顔で新しい元号を発表することでしょう。新しい時代が始まります。

ぼーっと生きてちゃいけませんね。そうそう時代といえば、だいだい色のだいだいの実はずっと樹になっている、代々成っているから「だいだい」というんだそうです。だから、代々栄えるようにと鏡餅のてっぺんに供えるとか。なぜかかんきつ系で平熱日記、今年はお開きにいたします。よいお年を。(画家)