《映画探偵団》14 どんどん広がる中心市街地エリア


【コラム・冠木新市】私は間違っていたのかと思った。偶然、つくば都市交通センター発行の『TUTC Library 46』(2017年3月)を手にし、「つくば中心市街地」の地図を目にした時だ。私は、東西南北の大通りに囲まれた長方形のエリアをつくばセンター地区(中心市街地)と認識していたが、この地図には松見公園が加えてあった。さらに、中心市街地は「つくば都心地区」と「つくばセンター地区」に分けられていた。出典はつくば市ホームページなので、正式なものだろう。

長年、センター地区で市民活動に従事する人やNEWSつくばの記者に尋ねたところ、「つくば都心地区」の名称を誰一人知らなかった。私は、松見公園がセンター地区から外れているのが前から気になっていたので納得したが、しかし待てよと思い、今年7月に発行された『つくば中心市街地まちづくりヴィジョン』を取り出し、裏面の「つくば中心市街地エリア」の地図を見た。そこには、北側の筑波大学附属病院、南側の物質・材料研究機構が組み込まれていた。つまり、中心市街地エリアはどんどん広がり変化してきているのだ。

この変化は、周辺市街地に暮らす人々にはどう映るのだろうか。多分、自分の住む所が中心地であり、我関せずと冷めて見ているのに違いない。いや、ほとんどこの事実を知る人はいないのではなかろうか。

雷蔵の『眠狂四郎』 勝新の『座頭市』

中心と周辺のことを考えると思い出すことがある。日本映画界が斜陽産業と呼ばれた1960年代に人気のあった、大映スター市川雷蔵と勝新太郎だ。雷蔵は『忍びの者』『陸軍中野学校』『若親分』、勝新は『悪名』『兵隊やくざ』『ど根性物語』と、多くのシリーズ物で主演を務めた。(※今ではカツライス劇場と言われるが、当時はそんな表現は聞かれなかった)

中でも、雷蔵の茶髪浪人『眠狂四郎』と勝新の盲目やくざ『座頭市』シリーズは、大映美術のセット、衣装、小道具と撮影部の陰影のある照明に支えられ、現在では再現不可能な芸術的な映像に仕上がっていた。

この2大シリーズには、制作会社によりある工夫が施されていた。武家社会の理不尽さを暴く眠狂四郎は、主に江戸を中心に活躍する。悪徳やくざを懲らしめる座頭市は、江戸周辺を旅する。(※座頭市は笠間出身で筑波の北条育ちの設定) このことで、2つのシリーズの背景に絶妙な変化が生まれた。

だが、その工夫を知ったのは何十年も過ぎてからである。気付くはずがない。2人の個性を象徴するような、眠狂四郎の円月殺法と座頭市の逆手居合い切りの殺陣が、あまりにも魅惑的なため、異なる舞台背景まで思い至らなかったからだ。

そう、私は間違っていたのだ。中心市街地、周辺市街地などと語っていては、肝心なことを忘れがちとなる。魅惑的なキャラクターや物語が生まれてくれば、中心と周辺の違いなど気にならなくなる。

だから、この連載も、つくばセンター地区、いや、中心市街地にこだわるのは止めにしようと思う。団員たちもきっと理解してくれるだろう。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)