《映画探偵団》13 戦いはこれで終わったわけではない


【コラム・冠木新市】私は驚いた。11月1日付「広報つくば」11月号の1面に、「周辺市街地のまちづくりが始まっています」と載っていたからだ。先月は、10月号が発行された7日後に、全8㌻のクレオ特集「臨時号」が出た。

クレオ購入計画の市民説明会の日程が発表され、3日間で、周辺地区の大穂、茎崎、市役所、筑波で開催されるとあった。さらに、ご意見募集ハガキが印刷されていて、10月16日必着とあった。緊急速報の慌ただしさであった。だから、11月号には続報が載ると想像していたが、どこにも出ていなかった。

私はまた驚いた。11月2日、五十嵐立青市長がクレオ購入を断念したとのニュースが流れたからだ。議会の承認が得られそうにないというのがその理由だった。計画発表から25日後である。8割の市民が賛成する中、当初から反対を表明していた私は、ホッとするよりも、割り切れない思いが残る結果となった。

計画に否定的な市議は、ビラでも作成しハッキリと意見を示すべきだった。様子見はいただけない。また、2年前に総合運動公園建設に反対の声を上げた市民たち(私も反対した)の声が上がらないのも不思議だった。運動公園とクレオ問題は異なるとも言うのだろうか。

クレオ調査費1500万円が消えた。建物調査以前に、クレオ・キュート・モグは一括売却という筑波都市整備の考えを明らかにしておけば、市民の賛成意見も変化しただろう。12月市議会で、今回の問題をどう総括するのか注目しよう。

などなど考えながら、改めて11月号を眺めたら別の思いが湧いた。1面の記事は、クレオ購入計画が決まることを前提に作られた記事ではないのかということだ。だから、次は周辺市街地の番ですとアピールしている。

クレオ計画発表とほぼ同時に、北条、小田、吉沼、大曽根、栄、上郷、谷田部、高見原の「8市街地合同勉強会」を開催したのも、計画を進めるリップサービスではなかったのか。そうした妄想で見ると、<実際に出たアイディアの例><地域共創プラットフォーム><地域共創コンペティション(仮称)の開催>の中で、何かの計画が進行中ではと疑いたくなる。

錦之助の『宮本武蔵/二刀流開眼』

映画とは大半が「リメーク」「シリーズ物」である。私が好きなシリーズ物に東映の『宮本武蔵』5部作(1961~1965)がある。内田吐夢監督が新人脚本家・鈴木尚之を起用し、主演の中村錦之助の成長に合わせ、1年1作で作り上げた。どっしりと腰を据えた制作手法は画面に重厚感を与えていた。

シリーズの第3作『宮本武蔵/二刀流開眼』で、武蔵は、京の名門・吉岡清十郎と対決し、木刀で相手の右腕の骨を砕き、あっさりと勝利する。敗北して門弟たちに抱えられて去る清十郎を見て、武蔵は言う。「俺は勝った。だが、戦いはこれで終わったわけではない。これからだ」と。

ひとつの出来事が終わると、すべてを忘れ去るのが日本人の特徴かも知れない。短期決戦ではなく、『宮本武蔵』シリーズの制作手法に学ぶべき点は多い。気軽に始めた『映画探偵団』の連載も1年が過ぎた。今後は、私も心を改めて真剣に取り組もう。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)