《邑から日本を見る》27 環境自治体会議 なめがた会議

環境自治体なめがた会議

【コラム・先﨑千尋】先月、茨城県で環境についての会議が2つ開かれた。1つはつくば市で5日間にわたって開かれた世界湖沼会議。50の国と地域から約4000人が参加した大イベントで、地元紙「茨城新聞」はその様子を大々的に報道した。もう1つは、16~17日に行方市で開かれた第26回環境自治体会議。こちらは17日付けのベタ記事だけだったので、多くの人はそのような会議が開かれたことすら知らないようだ。

環境自治体会議は、1992年にブラジルで開かれた国連主催の「地球サミット」と同じ年に北海道池田町で産声をあげ、会員自治体の所在地で開いてきた。「環境問題をグローバル(地球規模)で考え、ローカル(地域の実態に合わせた)に行動しよう」というのが目的だ。本県での開催は古河市、東海村に続いて3回目になる。

今回のテーマは「悠久なる『弐湖の國』の持続可能な地域づくり」。弐湖とは、行方市を囲む霞ケ浦と北浦のことを指す。初日の全体会議では、「流域・水系を意識した持続可能な地域づくり」について話し合われた。地元の鈴木周也市長は「霞ケ浦は流域が広く、農地からの堆肥、畜産の糞尿などによる汚濁された水の流入と生活排水などにより、湖の水質汚濁が進んでいる」と現状を訴えた。

そのために、行方市は「一斉清掃大作戦、レスキュー隊の湖岸清掃活動や、行政と児童生徒との環境学習などにより住民の関心を高め、水質浄化対策を講じている」と、対応策と今後の方向性を示した。

産業振興とよみがえる地域資源

午後は「水環境」「持続可能な開発のための教育」「産業振興とよみがえる地域資源」に分かれ、私は産業振興分科会の司会を務めた。

私の分科会では、行方市の農業に特化した報告を柱に議論した。旧鹿島・行方両郡は、戦前は陸の孤島と呼ばれ、産業は農業しかなく、それも生産性の低い品目しかなかった。それが戦後の経済成長とともに園芸畜産部門が急速に伸び、現在ではわが国有数の園芸地帯になっている。

本県は、鶏卵、甘藷、メロン、ハクサイ、ピーマン、干し芋、ミズナ、チンゲンサイなど全国1位の産出額を誇っている作目が多いが、その中心は鹿行地域だ。行方市はその一翼を担っており、なめがた農協甘藷部会は一昨年に日本農業賞、昨年には天皇杯を受賞し、名実ともに日本一になった。

今、農業の流行語は「6次産業化」。1次(農業)、2次(加工)、3次(流通販売)を掛け合わせ、6次と言っている。農産物に付加価値を付け、流通の収益も取り込もうというのが狙いで、6次産業化は農水省の目玉事業になっている。

行方市では、大学イモの生産販売で8割を占めている白ハト食品工業と連携し、甘藷の加工工場、直売所、体験・交流施設を一緒にした「なめがたファーマーズヴィレッジ」を3年前にオープンさせ、年間30万人近い人を呼び込んでいる。新しい雇用も生まれた。

人が住んでいるところにはなにかしら資源がある。それをどう活かすのか。「よそ者、バカ者、若者、女性」がマチづくりのキーワード。人が動くことからすべてが始まる。私は今回の会議でそのことを学んだ。(元瓜連町長)