【崎山勝功】日本原電東海第2原発(東海村)について、再稼働の是非を問う県民投票の直接請求を考えようという動きが市民の間で起こっている。16日、つくば市吾妻のつくばイノベーションプラザで学習会「原発県民投票について考えよう」が開かれ、市民ら約40人が参加した。市民団体「原発県民投票を考える会@茨城」が主催した。
原子力規制委員会は7月4日、安全対策が新しい規制基準に適合しているとして、事実上合格したことを示す審査書の案を取りまとめた。11月には運転開始から40年を迎えることから、現在は運転期間延長などの審査を実施している。再稼働にはさらに自治体の了解が必要だが、原電は3月、県と東海村だけでなく、水戸市など周辺5市の事前了解も必要とする新たな安全協定を締結した。
同会の代表世話人を務めるつくば市議の宇野信子さんは「私たちができるのは、県に対して住民自らが意思表示する県民投票を一つの選択肢として示すこと。そのための準備をしている」と話す。
学習会では、市民の手で県民投票条例を制定させる直接請求の説明が行われた。県には住民投票条例が制定されていないことから①条例案を作り、2カ月間に有権者数の50分の1以上の署名を集める②代表者が住民投票条例を知事に直接請求する③知事は意見を付けて20日以内に県議会に提案する④県議会が条例案を可決すれば住民投票を実施する―などの手順が説明された。
出席者からは「県民投票を周知することが原発の再稼働問題の関心を高めることにつながる」「新聞に意見広告を出すのも一つの方法」「説得の仕方から考えてみては」「小泉純一郎元首相の分かりやすい説明のように、いくつかあることを絞ってバシッと言ってみては」「若い世代にはポジティブな言い方で説得してみては」など積極的な意見の一方、「県議会が否決したら終わり」との意見も出された。
同学習会は、今年7月に結城市で開かれたのを皮切りにひたちなか市などで開かれ、つくば市は6カ所目。県南では牛久市に次いで2カ所目。宇野市議によると、これまで開かれた学習会の中では参加者数が一番多かったという。背景には県南地域にはホットスポットが点在し、県央・県北地域と違って原子力関係の仕事に従事する人が少ないことから「仕事関係のしがらみが無いことがあるのでは」と話した。
今後の学習会は、県南地域は10月18日に石岡、11月8日に取手で開かれる予定(日程や場所は公式サイトで公表)だ。土浦などまだ学習会が開かれていない市町村もあり、同会では学習会開催への市民の協力を呼び掛けている。