【鈴木萬里子】土浦市の塚本留蔵さん(68)がジャンルにこだわらず、気が向くままに撮った写真展「塚本留蔵10年間の回想録展」が9日(日)まで、つくば市吾妻の県つくば美術館で開かれている。
塚本さんが写真を撮り始めたは子どもが誕生した35歳の時。最初は子どもの成長を記録するためだったが、次第に写真に魅せられたという。2008年、土浦市が主催した写真教室に参加したのがきっかけとなり、この10年間は写真一筋の生活を送った。入会するのが難しいとされる公益社団法人日本写真協会会員を始め、東京と茨城の4団体に所属し活動の幅を広げている。
撮り続けながら数々のコンテストに応募し、10年で80もの受賞歴がある。国際写真コンテスト「ニコンフォトコンテスト」の一部門で、初心者のために年4回開かれる「ニコンチャレンジフォトコンテスト」に08年に応募、年間賞第1位を受賞した。塚本さんは「この受賞が写真を続けられた原動力になった」と振り返った。
今回の写真展は塚本さんが10年間に撮りためた中から、風景、富士山、スナップ、花、ハッセルブラッドで撮影した作品に分類した計66点が展示されている。特別展示として塚本さんも所属する、ハッセルブラッドフォトクラブ会長、三宅みね子さんの作品3点も展示されている。会場中央にはA4サイズのファイル5冊に入った写真が並べられている。気に入った写真は持ち帰り自由とあって、来場者の輪が出来ていた。
作品の半分はフィルムカメラで撮られていて、精密なデジタルカメラとは違った、味わい深い雰囲気が漂っている。塚本さんの同級生で千葉県から娘さん二人と来場した女性は「写真と分かっているのに絵に見えるのもある。一瞬の表情を切り取ったものもあり、とてもきれい」と話していた。土浦の清藤雅宏さん(70)は「いろいろなアングルの迫力ある写真が多い。外国の情緒を見事に表現している作品も目を引く」と話していた。
塚本さんは「感動を伝える写真づくりを目指してきた。今展は10年間の集大成として自分の力作を出品している。観る人に感動を与えたいし、楽しんで観てもらえるのが幸せ」と話した。速度をゆるめずに撮ってきたが、これからはゆっくりと楽しんで撮っていきたいそうだ。
▼9日(日)まで。午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)、入場無料。
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