【コラム・坂本栄】前回は土浦市街を貫く高架道のこと、前々回はつくばセンター地区の駐車場のことを取り上げました。両方とも地域活性化のマイナス要因になっていると思ったからです。今回はプラス要因になる駅前図書館をテーマにします。

図書館というと、これまでは地域において地味な存在でした。ところが、この文化教育施設を「売り」にして市街地を活性化しようと、土浦市は昨秋、JR土浦駅前に図書館をオープンさせました。これに刺激されたのか、本ニュースサイトの記事(6月12日)によると、つくば市もTXつくば駅前に位置する旧西武百貨店の2フロアを借りて、そこに図書館を移そうと考えているそうです。

想像するに、県立美術館とセットになった現市立図書館(つくば駅近く)が旧くなったので、駅前の中層建物内に移転、設備機能を一新するとともに、百貨店跡の活用を図るということでしょうか。一石二鳥、グッドアイデアです。多分もう一つ、学園都市つくばが公立図書館で隣接市に劣るのは面白くない、との矜持(きょうじ)もあるとも思います。

土浦とつくばの図書館戦争、大歓迎です。新土浦市立図書館の入沢弘子館長は日ごろ、つくばの学生はもちろん市民もどんどん新図書館を利用して欲しいと言っています。「集客」に熱心な館長ですから、つくば市も負けないように頑張ってください(煽り過ぎか)。

西武百貨店跡 ホテル?

でも、つくば市のプランは案に過ぎません。百貨店とスーパーが入っていた建物と土地がどう処分されるか、決まっていないからです。家主の筑波都市整備は売却する方針ですから、 買い手の民間会社がどう利用するか分からないと、この話は進みません。

買い手が建物を壊し、複合ビルとかホテルを新築することになれば、図書館が入る余地はないでしょう(図書館付き複合ビル・ホテルというのも面白いと思いますが)。壊さず複合ビルにリフォームするとしても、買い手が図書館は不要と思えば、市のプランは終わります。

「複合ビルとかホテル…」と書きましたが、大手デベロッパーや中堅ホテル会社が手を挙げていると聞いているからです。不動産専門家は、高層マンション建設もOKであれば簡単に売れると分析しています。でも、市が「マンションはNO」と言っていますから、できるだけ高く売りたい都市整備は買い手選びに苦労しているようです。

そういったわけで、「土浦vsつくば 図書館戦争」が起きるかどうか分かりません。文化教育分野でのバトルは地域のクオリティを上げると期待しているですが、この分野での学園都市の劣位は続くかも知れません。土浦の勝ち?(経済ジャーナリスト)