【鈴木宏子】筑波大学(つくば市天王台)で昨年12月10日、教室がある建物と建物の2階部分をつなぐ連絡通路(渡り廊下)の屋根が崩落した事故で、同大は24日、原因は経年劣化により、建物のコンクリートに打ち込んで屋根を固定していたボルトがさびて腐食し破断したためと発表した。外部の専門家を加えた特別チームを設置し事故原因を調査していた。
崩落した屋根は42年前の1975年に建設された。鉄骨造、長さ約17.5m、幅約4.5m、重さ約13.6tで、2つの建物と両側20本のボルトで固定されていた。普段は学生が渡り廊下を歩いて教室を行き来しているが、事故時は日曜日のため学生がおらずけが人はなかった。
さびた原因は、長年にわたって雨水が直接かかり腐食したという。事故前からすでに破断していたとみられるボルトや、細くなっていたボルトもあり、屋根の重さを支えきれない状態になっていたと考えられるという。この日氷点下2.3度を記録したため部材が収縮したことがきっかけになった可能性もあるという。
対策について、これまで目視により定期点検を行っていたが、ボルト部分は鋼板で覆われていたため、さびなどを確認することができなかったとした。一方、2004年に建物の耐震診断を実施した際、崩落した屋根については構造計算をしておらず、当時計算していれば事故を防げた可能性があったとした。
事故後、同大は、学内の渡り廊下77カ所の緊急点検を実施し、これまでに平砂宿舎の渡り廊下など計3カ所を撤去したり改修した。他に、崩落事故があった屋根と同様にボルトで固定されている渡り廊下が3カ所あることから、さらに点検を進めるとしている。
調査結果について永田恭介学長は「学内施設に対する安全性への信頼を低下させる極めて深刻な事故。今後同様の事故が発生することがないよう安全・安心の確保のため全力を尽くしたい」とするコメントを出した。