土曜日, 11月 22, 2025
ホーム土浦人口減、空き店舗増 歯止めかからず 土浦市中心市街地

人口減、空き店舗増 歯止めかからず 土浦市中心市街地

【鈴木宏子】5カ年計画で中心市街地の活性化に取り組んでいる土浦市は、事業4年目となる2017年度の事業効果の検証結果をまとめた。居住人口と空き店舗いずれも目標に届かず、中心市街地の人口減少と空き店舗数増加に歯止めがかけられてない実態が浮き彫りになった。

一方で、市内外から中心市街地を訪れる交流人口については、昨年11月、駅前に図書館などがオープンし、今年3月、土浦駅ビルにサイクリング施設がオープンした集客効果などから、歩行者数、観光施設利用者数いずれも目標達成可能と見込まれると強気の見方を示している。

14日開かれた市中心市街地活性化基本計画策定委員会(委員長・大沢義明筑波大教授)で市が報告した。

同活性化計画は、土浦駅周辺の中心市街地で、新庁舎や新図書館整備など78事業を展開し、ハード事業とソフト事業の両輪で活性化するとしている。事業効果については、12年度の実態を基準に、居住人口、空き店舗数、歩行者数、観光施設利用者数の四つの指標で毎年、検証している。

14年度のスタートから事業4年目となる17年度の中心市街地の居住人口は7496人と、基準年の12年度と比べて6%減少した。目標に届かないばかりか、当初、予測されていた人口減をさらに上回るスピードで人口が減少している実態が明らかになった。歯止めを掛ける施策として市は、新たに中心市街地に住もうとする人に、住宅建替え補助や家賃補助を実施している。市は「転入者は引き続き増加しているが、それ以上のスピードで自然減や社会減による人口減少が進行している」と分析している。一方、駅東口前と西口そばの2カ所でほぼ10年ぶりの新築分譲マンションの計画があることから、減少スピードが緩和されると期待している。

空き店舗数は、12年度に68店舗あった空き店舗を、18年度にほぼ半減させる目標を立てていたが、17年度は9店増え77店舗となった。

1日の歩行者数は、12年度と比べ、17年度は平日が約17%増の約2万9000人、休日が約16%減の約2万3000人、観光施設の来場者数は約14%増え約11万人となった。

最終年度の今年度は、新たに民間事業者が、中心市街地の空き地(桜町3丁目)に飲食店が集積する店舗を整備する計画があるという。市は今年度、これまでの計画を検証し、課題を整理した上で、新たに19年度から5カ年の第2期計画を策定する予定だ。

土浦駅東口前に着工した新築分譲マンション

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土浦市は18日、同市東中貫町、民有地の建物内で、特定外来生物のセアカゴケグモのメス1匹と、卵が詰まった卵のう4個が発見されたと発表した。クモはすでに駆除され、かまれた人や健康被害を訴える人はいない。 セアカゴケグモのメスは毒をもち、かまれると重症化することがある。素手で触るとかまれることがあるため、同市は、見掛けても絶対に素手で触らないよう注意を呼び掛けている。 市環境衛生課によると、17日、建物内にクモが1匹いるのが発見され、セアカゴケグモだと分かり、発見者がクモと卵のうを駆除した。発見者は同日午後5時30分ごろ、市ホームページの問い合わせフォームから市に連絡した。 翌18日午前9時ごろ、連絡を受けた市職員が現地を訪問し、駆除されたセアカゴケグモ1匹と卵のうを確認。県生物多様性センターが同日、セアカゴケグモであることを確認した。 駆除されたメスは体長1センチ弱、卵のうは袋状で、一つの直径が5ミリ程度。クモがどこから侵入したかなどは不明という。 同市内では今年8月、民有地でセアカゴケグモの死骸が発見された。生きた状態で見つかったのは今回が初めて。県内では2013年に神栖市で発見されて以降、各地で目撃されている。 市は、セアカゴケグモを見つけた場合、素手で触らず、家庭用殺虫剤か熱湯、靴などで踏みつぶして駆除し、市環境衛生課(電話029-826-1111内線2459)に連絡してほしいと呼び掛けている。