市議会特別委
つくば市の生活保護行政をめぐり不適正な事務処理が相次いで明らかになった問題を受けて、市福祉部が今年6月にまとめた「生活保護業務の不適正な事務処理に関する報告書」(6月23日付)に対して、「報告書は業務の分かる私たちが読めばひじょうに不十分で不誠実だ」などとして、当時、生活保護業務を担当していた市職員(現在は異動)が市議会9月定例会議に、第三者委員会による徹底的な調査を求める請願を出した。25日、市議会請願審査特別委員会(小村政文委員長)で審議が行われ、賛成少数で不採択となった。10月3日の定例会議最終日に改めて審議される。
同職員の議会請願は3回目。今回の請願は99ページに及び、報告書の問題点を一つ一つ取り上げ、課題を指摘している。市議からは「(請願には)報告書に書かれてないものがあり、検証が足りない部分があると思う。(報告書は)不十分だとおっしゃる請願者の主張はごもっとも。どうしてこういうことになったのか、なぜこういうことに至ったのか、全庁的な総括が必要」(小森谷さやか市議=市民ネット=)などとする意見が出た。
500件超の手順誤り
併せて同特別委では、今年7月に一般監査を実施した県から、不適正な手順による診断書料などの支給が500件超あったと8月の結果通知で指摘されたなどの報告が市社会福祉課からあった。
500件超の誤りは、障害年金の受給を申請する際に必要となる診断書料の生活保護からの支給手順について、本来、市が検診命令を出し、医療機関からの請求に基づいて、市が医療機関に支払うべきものを、同市では、申請者が医療機関に診断書料を払い診断書をとった後、市が申請者に支給していたーなど。
監査での県の指摘に対して山中真弓市議(共産)は「6月に報告書が出て調査終了となったが、2カ月後に県の通知があり、これでは調査が不十分。報告書ではなぜこういうことが起きたのかの調査がない」などと話した。一方、同課は「以前から県に運用誤りの報告をしており、報告書にも記載していた。調査は十分行ったと考えている」とする一方「500件超という件数は市長に報告していなかった」とした。
請願を採択するか否かの討論では、採択に賛成する意見として「(6月の報告書は)問題の背景や根本的な原因に到達しておらず、市としての調査は限界がきている。忖度のない、利害関係のない弁護士などを選定した第三者委員会を設置すべき」(山中市議)とする意見が出る一方、反対意見として「このような事態に陥ったのはここ5年とか10年ではない。どこが悪かったのか、責任の所在と原因を明らかにしていかなくてはならない。職員は、不適正だと分かっていても不適正な事務をやらなければらなかった。根が深い問題があるが、最終報告を待ってから第三者委員会の必要性を判断したい」(小森谷市議)、「現時点で第三者委員会による調査を行うことはない。なぜなら、県の監査が有効に機能していて、外部通報窓口が遅くとも来年4月にはできる」(川久保皆実市議=つくばチェンジチャレンジ=)などの意見が出て、委員14人中、賛成は2人(山中市議、川村直子市議=市民ネット=)にとどまり、賛成少数で不採択となった。(鈴木宏子)