独特の地形や地質をもつ「筑波山地域ジオパーク」をモチーフとした絵本「ロッグとビットのおかしな旅 ひみつのてっぺん」(ロクリン社)が完成した。18日、作者の岡林ちひろさん(53)と、絵を担当した絵本作家のおおさわちかさん(51)がつくば市役所を訪れ、五十嵐立青市長を表敬訪問した。本はAB判サイズ、44ページで、前半35ページが絵本に、後半9ページがジオパークについての解説になっている。筑波山地域ジオパーク推進協議会が監修を務めた。
作品は、筑波山や周辺地域を舞台にした、好奇心旺盛な主人公のカエルとウサギによる冒険物語。今にも落ちそうな巨岩の下をくぐり抜ける「弁慶七戻り」や「ガマ石」など筑波山の奇岩や、12万年以上前のカキの化石が露出する霞ヶ浦に面する出島半島南端の崎浜・川尻地区の崖、大きく蛇行する桜川と小貝川など、筑波山地域ジオパークの特色ある自然が多数登場する。フランスで絵画を学び、フランスや日本で絵本作品を出版してきたおおさわさんが、色彩豊かに筑波山地域の自然を描き込んだ。
岡本さんは「物語に登場するのは地域に実際に生息する植物や動物たち。主人公と一緒に冒険を楽しんでもらうような物語にした。苦労して山頂にたどり着いて見た風景への感動を、主人公と同じように感じてもらえたら」と作品への思い話す。おおさわさんは「実際に筑波山に登って、山頂から見た平野の広がりに感動し、その思いを絵に表現した。自然の質感や温かさを大切に描いたので、見てくれる子どもたちにそこを感じてもらえたらうれしい」と語った。
同ジオパーク推進協議会会長を務める五十嵐立青つくば市長は「ジオパークの認知度について悩んできた。ジオパークには未就学児や小学生たちが多く訪れている。今回の作品を通じてジオパークの存在をさらに多くの方に知ってもらい、実際に現地に足を運び、学びを深めてもらうきっかけにしてもらいたい」と話した。
筑波山地域ジオパークは、つくば、石岡、笠間、桜川、土浦、かすみがうらの6市にまたがるエリアで構成されており、一帯にある筑波山、霞ケ浦、平野を流れる河川が生み出す独特の地形や地質、地域に根ざした営みが評価され、2016年に日本ジオパークに認定された。4年ごとの審査をへて、今年1月に2度目の再認定を受けた。(柴田大輔)
◆絵本「ロッグとビットのおかしな旅 ひみつのてっぺん」は今月27日から販売される。価格は1870円(税込み)