【谷島英里子】土浦市在住の篆刻(てんこく)家、宮部紫邦さん(85)の個展「七十二候(しちじゅうにこう)・篆刻展(前期)」が25日から同市大和町のアルカス土浦1階、市民ギャラリーで開かれている。30日まで。
水戸市出身、30代より篆刻を始めた。知丈印社を主宰し日本の篆刻史に名を刻む松丸東魚(1901-75)や加藤紫翆(1894-1984)の元で学び、40代で独立。現在は県内を中心に篆刻教室の講師を務めるほか、教育習字普及連盟(東京都)検定委員長を担う。
個展は石に文字を彫る篆刻の世界を知ってもらおうと開いた。季節を表す二十四節気をほぼ5日ごとに示した七十二候を題材に、一つの候ずつ解説を付けて展示している。2010年ごろから制作を続けてきたという。
霞がたなびき始めるという意味で、初春の2月23~27日ごろに当たる「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」や、冬ごもりの虫が出てくるという意味で3月5~9日ごろに相当する「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」などの短文が並び、赤色が際立ち、迫力が感じられる。
前期展と後期展(9月26日~30日)に36点ずつを展示する。入場無料。開館時間は午前10時~午後6時(最終日は4時まで)。問い合わせは宮部さん(電話029・822・8312)まで。