つくば市に住む水野美津子さん(63)と大貫千春さん(58)が、2025年10月ハワイで開催されるトライアスロン世界最高峰の競技大会「アイアンマン世界選手権大会」=メモ=に出場する。水野さんは60-64歳クラス、大貫さんは55-59歳のクラスに出場し、海外からの出場者と競う。
ワールドシリーズで優勝
2人は昨年9月、北海道北斗市と木古内町で開催された「アイアンマンジャパンみなみ北海道2024」(日本トライアスロン連合など主催)で、それぞれ年代別で優勝したことから出場が決まった。水泳が3.8キロ、自転車180キロ、長距離走42.2キロ、計226キロのコースで、9年ぶりに国内開催されたトライアスロン大会ワールドシリーズの一つだ。
水野さんは60~64歳部門で水泳1時間15分25秒、自転車ロードレース6時間18分49秒、長距離走4時間52分47秒、トータル12時間40分56秒を記録した。大貫さんは55~59歳部門で水泳1時間26分47秒、自転車6時間23分42秒、長距離走4時間6分22秒、トータル12時間11分46秒の記録で優勝した。ほかに55―59歳男子の部でつくば市の篠塚恭男さんが優勝し、つくばから計3人がアイアンマン世界選手権に出場する。
きっかけは「人との縁」
水野さんは東京都出身、トライアスロン歴はわずか5年だ。子供の頃、競泳をやっていて中学は平泳ぎで全国中学生大会出場、高校は国体やインターハイに出場し、ジュニアオリンピックで優勝した実績がある。たが子育てなどで34年間特に運動をしないままだったという。53歳になって久しぶりに水泳を再開。すっかり筋肉は落ちていたが徐々に勘を取り戻した。体を動かすことが好きで、ランニングも始めた。最初はなかなか長距離を走れなかったが、ランニング仲間ができたことで続けられたという。
フルマラソンや水泳大会に出るようになり「もしかしたらトライアスロンができるかもしれないと思った」。自転車を買いに行った市内の店にトライアスロンをやっている人がたまたまおり「人との縁で始められた」と語る。ただ自転車はなかなか上手くいかず、転んでけがをすることも多く「ヘルメットは3つ壊した」。
初めてのトライアスロン大会出場は2018年に開催された世界湖沼会議開催記念&りんりんスクエア土浦オープン記念 第1回霞ヶ浦トライアスロンフェスタ。そこでいきなり年代別クラスで優勝した。すっかりトライアスロンに夢中になり「毎月のように大会に出た年もあった」と笑顔で語る。トライアスロンだけでなく、水泳大会やマラソン大会、山などを走るトレイルランニングにも出場している。これまでつくばマラソンなどの国内大会のほかハワイのホノルルマラソンに3回出場、トレイルランは常陸國トレイルラン(石岡市)50キロと安達太良山トレイル(福島県二本松市)50キロでそれぞれ年代別1位、世界マスターズ水泳選手権2023九州大会では年代別個人メドレーで世界4位入賞した。
現在、水泳は週4日、土浦のスポーツクラブで2000~2800メートルを4種目泳いでいるほか、ランニングは自宅から洞峰公園をぐるぐる回ったり、赤塚公園から筑波大まで12~20キロを一人または仲間と走っている。自転車はスポーツジムでのバイク漕ぎのほか、日曜日は自転車仲間と土浦から茂木、霞ケ浦一周などを走っている。
運動は苦手だった
大貫さんは稲敷市出身、トライアスロンを始めて9年だ。トライアスロンに出合う前は「運動が苦手だが、運動不足を解消したくて自宅近くの洞峰公園でウォーキングを始めた」と話す。「もっと早く歩かないと効果が出ない」と思いランニングを始めてみたが、最初は1キロも走れなかった。たまたまランニング中、信号待ちで他の人を指導していたランニングコーチにランニングの体験に行ってよいか声を掛け、ランニングクラブに入会した。
大貫さんも、ランニングクラブにトライアスロンをやっている人が偶然いて勧められたのが始めるきっかけだった。ランニングだけをやっているときは「足が痛い」「タイムが伸びない」など悩みがあったが、泳いだり自転車に乗ったりすることが気分転換になったという。
現在、つくば市内のランニングクラブで週2日、朝6時から8~10キロのモーニングラン、別の週2日はスポーツクラブで1時間半くらいペースランニングなどをしている。さらに週4日、土浦のスポーツクラブなどで1.5キロくらい泳ぎ、ロードバイクは月4回くらいロングライドなどを実施している。
2024年のトライアスロン成績は、石垣島トライアスロン年代別3位、五島長崎トライアスロン女子総合8位、年代別1位、うつくしまトライアスロン年代別1位など好調だった。つくばマラソンなどマラソン大会にも積極的に参加している。足が痛いときは水泳で体を動かし、遠くに行きたいときは自転車に乗る。「自転車は100キロくらい走れる。ランニングより遠くまで行けるのがいい」と語る。
仲間がいるから
トライアスロンを続けられるモチベーションは「一緒に頑張れる仲間がいるから」と水野さんも大貫さんも口をそろえる。大会が宮古島など南の島で開催されることが多いのも楽しみだという。2人は1年ほど前から千葉県我孫子市にある同じトライアスロンクラブに所属し、日にちが合えば一緒に練習することもある。初めての世界大会出場を決め、2人とも「目標は完走すること」と意気込みを語る。(伊藤悦子)
※メモ
【アイアンマン世界選手権大会】1978年から開催されているトライアスロン競技大会。米国、カナダ、フランス、オーストラリアなどさまざまな国から参加する。2024年の同大会は55-59歳クラスに134人が出場、60-64歳クラスは74人が出場した。同大会に出場するには、各国で開催される大会で優勝するなど条件がある。