イートインコーナーや切り売りも
つくば市で唯一の養豚農家が直営する加工場「ハム工房HISAMATSU」(ひさまつ、久松茂樹代表、つくば市酒丸)がリニューアルされ、16日直売スペースがオープンした。家族3代で飼育する豚で手作りしたハム、ソーセージ、ベーコンなどを直売するほか、イートインコーナーも設ける。ハム、サラミなどの切り売りもする。
ハム工房ではこれまで販売しておらず、TX研究学園駅前の商業施設イーアスつくばアウトモール内のJA水郷「サンフレッシュつくば店」などの店舗でしか購入できなかった。
住み込みで12カ月修行
養豚は茂樹さん(49)の祖父が1960年頃に始めた。現在は父親の隆夫さん(72)が中心になって繁殖から肥育までを一貫して行う。母豚を100~120頭ほど飼育し、食用として年間約2000頭を出荷、約100頭をハム工房で加工している。
27年前、加工技術を習得しようと、茂樹さんは群馬県内の手作りハム工房に住み込んで12カ月修行し、ハムやソーセージ、ベーコンの作り方を学んだ。2000年に敷地内に工房を開設した。
加工する豚は、いも類を主成分とする飼料で飼育するブランド豚「いも豚」を使用している。トウモロコシが主成分の飼料で育てた豚と比べ飼育期間が長いが、脂身が甘く赤身が柔らかいのが特徴のブランド豚だ。加工は、防腐剤、保存料、増量剤などは使わず、鮮度の良い豚肉を使用する。「日常の食事として食べてもらいたい」とお手頃価格に抑えているという。
加工品は3年に一度開催されるドイツの権威ある食肉加工品評会「IIFA国際食肉コンテスト」で金賞などを受賞している。テレビや雑誌などでも紹介され、今年10月にはつくば市の地産地消認定店になった。
来年、創業25周年を迎えるのを機に、作り手と地域とのつながりを大事にしたいと、工房に直売スペースを設けた。
茂樹さんは「ハム工房で作られたフレッシュなハム・ソーセージを、その場でお楽しみいただける空間なので、ぜひ足を運んでいただきたい。夫婦2人で対応しており何かとご迷惑をお掛けしてしまうかもしれないが温かく見守っていただけるとうれしい」とし、茂樹さんの長男、勇斗さん(26)は「現代は、機械やAIによる食品製造の自動化が進み、効率的に大量生産することが進んでいる。そんな中で、職人の手で一つひとつ丁寧に、温もりや心を込めて作ったハムやソーセージをお届けしたい」と話す。
直売スペースは面積約20平方メートル(うち厨房は5平方メートル)。フランクグリル(700円)、つくばドッグ(870円)、ドイツつまみセット(1090円)のほか、コーヒー(350円)、ドイツビール・ヴァイツェン(950円)などを販売する。価格はいずれも消費税込。(榎田智司)
◆ハム工房HISAMATSUは、つくば市酒丸767-111、営業時間は午前10時~午後5時、日曜定休。問い合わせは電話029-848-2072、Eメールinfo@ham-hisamatsu.com。公式オンラインサイトはこちら、X(旧Twitter)はこちら。