つくばエクスプレス(TX)の駅構内などに貼られている痴漢や盗撮の被害防止を訴えるポスターを作り直し、新たにオリジナルのポスターを制作しようというイベント「ちかん、盗撮 誰のせい?」が10日、つくば駅前のつくばセンタービルで開かれ(7月31日付)、中学生や大学生、社会人など男女10人がそれぞれ、ポスターの原案を制作した。現場に居合わせた第3者ができる5つの行動をポスターに記載する案が複数の参加者から出された。
5つの行動は①被害者の知り合いのふりをして声を掛けるなど「加害者の気をそらす」②自分の安全が確保できるなら加害者に注意するなど「直接介入する」➂警察や駅員に知らせるなど「周囲に助けを求める」④スマホで映像や音声を撮るなど「被害の証拠を残す」⑤後で被害者に声を掛けたり通報を助けるなど「後で対応する」ーの5つ。居合わせた人がただ見ているだけでなく行動する人(アクティブ・バイスタンダー)になることで、痴漢や盗撮などの抑止につながるとされている。
イベントを主催した筑波大3年の上田咲希乃さん(21)は「被害者と加害者だけに限定せず、傍観者が自分たちの問題としてとらえ、行動していくというポスターが結構見受けられたのが良かった」と話した。
イベントは、TX駅構内に掲示されているポスターに「スカートを履いている時が危険」「夜道の一人歩きを避ける」と書かれているなど、被害者に自衛を求める価値観に違和感を感じた上田さんが呼び掛け、9人でプロジェクトを立ち上げ、開催した。
臨床心理学や犯罪心理学が専門で実際に性犯罪者の治療に取り組んでいる原田隆之筑波大教授、ポスターを制作したつくば警察署、つくば市ダイバーシティ推進室、性暴力や性差別を無くす取り組みをしている慶応大学の学生団体などが参加した。
中学生や大学生らは、原田教授やつくば警察署の担当者などから話を聞いた後、それぞれオリジナルのポスターの原案制作に挑戦した。
上田さんは「きょう制作してもらったポスターを参考に、今後、2点か3点のポスターを改めて制作して、9月下旬か10月初めを目途につくば警察署に持っていきたい」と話し、つくば警察署生活安全課の植野真人係長は「筑波大生が自分たちの視点で作ってくれるなら、県警本部に上げたい」としている。(鈴木宏子)