【コラム・片岡英明】県立つくばサイエンス高校はつくば市内の生徒割合が近年増加している。来年からの普通科設置で多くの生徒の受験対象校となり、地元での存在価値が問われる高校となったといえる。
同校のつくば市内の生徒割合は以下の通りである。
年 度 2020 2021 2022 2023 2024
定 員 160 160 160 240 240
入 学 157 150 134 88 77
つくば市 76 80 73 53 53
割 合 48.4 53.3 54.4 60.2 68.3
私たちは、5月23日、それから6月14日と27日、サイエンス高を訪問し、先生方と懇談した。今回は、この懇談を通して感じた同高校の可能性や魅力について考えたい。
サイエンス高の良さと課題
訪問前は、パンフレットから硬いイメージを持っていた。まず、私たちは昨年1期生の88人がどう学び、何人が2年生に進級したかに注目した。受験者全員合格なので、多様な生徒が入学し、教育的な苦労を想像していたからだ。
しかし、2年の在籍者は84人。退学や進路変更者も少なく、生徒がそれぞれ楽しく学び、教師と生徒の対話、生徒同士の語り合いの場があることが分かった。全体的として、生徒をていねいに教えていた。少人数の学級が功を奏し、入学後の生徒の満足度も高いことが分った。
このような入学後の生徒たちの学ぶ姿を、ぜひ地域へ発信してほしいと思う。
パンフレットなどでは受験生に高い意欲を求めているので、それが受験減につながるのではないかと少し心配していた。しかし、高いハードルを越えて、2年間、70~80人の科学技術に意欲のあるコアな生徒が入学した。これは今後の土台になる新設高校の準備期間を含めた成果といえる。
今後、学校全体の魅力をハードからソフトへ、コアからその周辺に広げる視点を持てば、科学技術科120人の定員確保は2025年度入試からでも可能であると思う。気になる点は、科学技術科は当初から週34時間(週4回7時間)設定だが、普通科はどのような教育課程なのかである。
2学科制発足の学校案内では「4年制大学進学重視単位制高校」と高らかにうたっている。オープンスクールでも、この具体的な説明が要のひとつとなる。
オープンスクールで魅力発信を
懇談では、新設の普通科も週34時間体制との説明を受けた。これは週31時間・55分授業の牛久栄進校と授業時間で遜色ない。それどころか、授業を5分伸ばすよりも1週間の英数国などの授業数を増やした方が学習効果は上がる。生徒も教師も大変だが、地域の声に応えようとするサイエンス高の努力に期待したい。
サイエンス高の魅力を上げると、①2学科制の幅広い学びある、②全学年がサイエンス高校生で学校が一新、③広いキャンパスでの充実した教育施設の中、楽しい友との出会いや共に進路を考える時間がある―ことである。
魅力ある学校づくりとは、学ぶ生徒の視点であり、地域にとって必要な学校になるということだ。成功するかどうかは、どれだけ多くの教職員が学校づくりを自分事として参画するかにある。そんな魅力ある学校づくりを見たいと思い、8月10日のオープンスクールを申し込んだ。
オープンスクールでは、生徒と教職員が共同で学校の魅力を発信してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代長)