筑波大出身で関彰商事所属の東田旺洋(28)が、パリオリンピック陸上男子100メートル及び400メートルリレーの日本代表に内定し、10日、練習拠点のつくば市天王台、筑波大学陸上競技場で合同取材会に臨んだ。大会の目標について「個人の目標としては自己ベストの更新。自己ベストを出せば準決勝進出も付いてくる。リレーではメダルを取りたい」と語った。今後、日本オリンピック委員会の認定を受け、正式に日本代表となる。
東田は「オリンピックは他の世界大会と違うとは言うけれど、やることは走るだけなので、気負わずにやりたい。リレーに選ばれるということは日本で4番目以内に速いということになるので、責任をもって走りたい。また日本のバトンのうまさの精度を高めていきたい」と意気込みを話す。
「無理な挑戦してきた」
筑波大時代から東田を指導する同大体育系の谷川聡准教授は東田について「大学時代からけがが多く、素直ではなかった。こだわりが強く、1回やってみないと分からないということで無理な挑戦をしてきた。この2年は安定してきて、日本選手権は当然の結果だった思う。オリンピックでは自己記録を十分狙え、条件が整えば9秒台も出るかも知れない」と期待を話す。
東田は6月30日に行われたパリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権男子100メートルで10秒14で2位に食い込み、内定を得た。10秒13で1位となった坂井隆一郎(大阪ガス)との差は0.01だった。
1995年奈良県生まれ。奈良市立一条高3年時はインターハイ200メートルで8位入賞した。筑波大に進学後は、度重なるケガを乗り越え、大学院2年の2019年に日本インカレ100メートルで初優勝。その後の国体100メートルも制した。
卒業後は茨城陸上競技会を経て21年から栃木県スポーツ協会に所属。同年、100メートル10秒18、200メートル20秒60の自己新を出し、日本選手権100メートルでは8位入賞を果たした。昨年の日本選手権100メートルでも決勝に進んだ。
前回、東京五輪の代表になった桐生祥秀選手(日本生命)とは同級生。高1で出会い、数々のレースで競ってきたが、10年かけてようやく追いついたという。
現在、関彰商事ヒューマンケア部に所属し、仕事をしながらトレーニングに励んでいる。サポート体制が充実しており、女子中距離の平野綾子、同100メートルハードルの相馬絵里子、男子400メートルハードルの高橋塁、男子やり投の村澤雄平、女子競歩の熊谷菜美も在籍している。
陸上競技の五輪出場は奈良県の高校出身者では初となる。「つくばは10年以上住んでいるので第二の故郷」だと言う。16日、パリに旅立つ。(榎田智司)