【コラム・田口哲郎】
前略
最近、文化観光推進法(2020年5月施行)という法律があることを知りました。この法律の概要は文化庁の公式サイトによると以下のようになります。
文化観光とは「有形又は無形の文化的所産その他の文化に関する資源(文化資源)の観覧、文化資源に関する体験活動その他の活動を通じて、文化についての理解を深めることを目的とする観光」(文化観光推進法第2条)です。
多くの人々に文化資源の魅力を伝え、文化の振興に再投資される好循環を生み出すことで、地域の活性化や文化芸術の発展につなげていくことが期待されています。
要するに、地域に根ざす文化を観光資源化し、観光による収入を再び地域に投資し、地域活性化、文化振興に役立てようというものです。現在、日本全国で51の文化観光拠点が認定されています。
琵琶湖疏水記念館を核とする計画
名だたる名所が並んでいるのですが、そのうちに「琵琶湖疏水記念館を中核とする文化観光拠点計画」があります。この文化観光推進法はいくつかの観光拠点を有機的に結びつけて、観光客を増やして収益を文化と地域活性化のために再投資するのが目的です。
京都の計画では、2時間サスペンスドラマの撮影地で有名な南禅寺水路閣、京都に生活用水を供給した琵琶湖疏水の記念館、京都市京セラ美術館、京都水族館、疏水の高低差部分に船を通すための鉄道線路である蹴上インクライン、旧御所水道ポンプ室が結ばれています。
蹴上インクラインのライトアップ、多言語デジタル対応、オリジナルグッズの販売、集客イベントの開催などが計画され、5年間で3億円あまりの推進事業予算がついています。実績は今後出てくるものと思われます。
茨城県南の文化観光拠点は?
さて、茨城県については、2024年4月1日現在、認定された拠点はありません。これは各県ひとつずつとかそういった決まりもないですし、拠点がないからといって観光に力を入れていないということでもありません。
ただ、たとえば霞ケ浦は琵琶湖に次ぐ大きさを誇る巨大な湖ですし、霞ケ浦の周りにはレンコンやサツマイモの産地があり、美浦村にはJRAのトレセン、阿見町には予科練記念館、昭和初期には世界一周中の巨大飛行船ツェッペリン伯号が飛来、リンドバーグ夫妻が飛行機で土浦の海軍飛行場に寄港するなど歴史的事実もあります。
霞ケ浦の帆引き船の見学や自転車によるりんりんロードは2023年12月まで県が行っていた観光振興事業、体験王国いばらきの精神を継承できるのではないでしょうか。
茨城県南が文化観光推進事業によって、その魅力を再発見し、広報できれば、より魅力ある街づくりができるのではないかと、また夢見てしまいます。ごきげんよう。
早々
(散歩好きの文明批評家)