江戸時代後期に建築されたとされるつくば市栗原の古民家、下邑(しもむら)家住宅で、コスプレーヤーなどの愛好家グループ「下邑しぇあすたじお」(藤島正朗代表)が古民家をPRするプロモーションビデオ(PV)を今年4月に完成させた。下邑家住宅では母屋や庭などを含め屋敷全体を撮影用に貸し出している。グループは貸し切りプランを利用し「刀剣乱舞」という人気のゲーム作品をモチーフにPVを制作した。現在X(旧ツイッター)で公開している。
下邑家住宅は、県道土浦大曽根線沿いの長屋門が連なる栗原地区にある。後継者の郷悠司さん(31)らが年に2回マルシェなどを開催するなど、古民家の保存活用方法について模索を続けている(23年5月31日付)。
撮影は4月6日に実施された。コスプレーヤー8人と、イベント参加者10人が加わり、1分42秒の短い動画にまとめられた。Xでの閲覧数は5月15日時点で8000件を超えるなど予想を超える反響を呼んでいる。
PV制作は、コスプレーヤーで千葉県柏市在住の高校3年生、綾茶葉(あやちゃば)さん(17)が発案した。農業を中心に地域活性化を目指すつくば市の合同会社「ワニナルプロジェクト」(4月18日付)のイベント担当で、市内在住の藤島正朗さんから下邑家住宅を教えられ、撮影に使う機会があれば、古民家の魅力が多くの人にもっと伝わるのではないかと「下邑しぇあすたじお」を発足させた。
メンバ―は17歳から34歳の高校生、大学生、会社員らで、コスプレーヤー、映像スタッフなどで構成する。下邑家住宅などつくばの素晴らしいロケ地を拡散し認知度を向上させること目的としている。4月に同住宅で撮影イベントを開催した。今後はつくば市を中心に自然豊かな場所でコスプレ撮影をするイベントを継続的に開催していきたいと綾茶葉さんは言う。
綾茶葉さんは元々アニメ好き。SNS等でアニメキャラクターにふんしたコスプレ写真を見ているうちに自分でも表現したいと思い、コスプレの世界に入った。今回のPVでも刀剣乱舞のキャラクターである加州清光にふんして出演している。
刀剣乱舞はゲームとして制作され、アニメ、舞台、歌舞伎などにもなった人気作品。綾茶葉さんは下邑家住宅について、刀剣乱舞の世界観にぴったりで、関東で撮影にぴったりな場所はここしかないと思ったそうだ。
下邑家住宅の郷悠司さん(31)はPVについて「うちの家のポイントを押さえてあり、自分で撮りきれない部分まで入っていたのでとても良かった。またコスプレーヤーの演技を見ることが出来てとてもうれしかった」と感想を述べた。
綾茶葉さんは「つくば市は愛好家にとって環境が良い、地域を創生させることによって、ロケーションビジネスとしても成功させたい」と話す。
今後は下邑家住宅だけでなく同市上郷の金村別雷神社(かなむらわけいかずちじんじゃ)での撮影も予定している。11月上旬には下邑家住宅でイベントを開く予定という。(榎田智司)
◆PVはXの「下邑しぇあすたじお」で見ることが出来る。