つくば駅から徒歩7分の一等地にある筑波学院大学(つくば市吾妻)が、4月から「日本国際学園大学」に名称を変更し、新たな開学を迎えた。学びの場も「杜(もり)の都」仙台と「学園都市」つくばの2キャンパス制になった。同時に、理事長を務めていた橋本綱夫さんが新大学の学長も兼務する。新名称+学長兼務+2キャンパスの狙いは何なのか、橋本学長に聞いた。
日本発の国際的人材を育てる
「新大学の名称は、一言でいえば日本発の国際的人材を育てたいということ。自分の国、日本の文化を知ることが国際化の第一歩という意味合いも込めた。当然、外国からの留学生がたくさん来てほしいという思いもある」
「小規模な大学の場合、学長が理事長になるケースが多い。この5年半、理事長だったが、学長候補者選考委員会の推薦を受けて検討した。学長を兼ねることで教育と経営の一体性を図ることができ、大学経営のスピード感も高められる。理事長を引き受けてからの変革期が終わったので、学長を兼務することが可能と判断した」
仙台市で専門学校も運営する橋本学長は2018年秋、東京家政学院大学の姉妹校・筑波学院大が1法人1大学体制となるに当たり、理事長に就任した。この5年半、大学再生の仕事にコロナ禍による留学生減が重なり、経営はハードだったようだ。これまでが大学再生の第Ⅰ期とすれば、大学名称変更及び新大学開学は第Ⅱ期への移行宣言ともいえる。
2キャンパス活用は来年から
名称変更・新大学開学に合わせ、大学はつくば市内と仙台市内の2キャンパス制になる。仙台キャンパス(仙台市青葉区)は仙台駅から徒歩10分の専門学校(外語系とホテル系)の建物を使う。
「仙台での授業は来年4月からになる。今の時代、(ネットを使うなど)学びの地理的なハードルは低くなっている。うちでは、今年はつくば、来年は仙台といった形で学べる。今年度入学生は、1年時はつくばキャンパス、2年以降はコースによって両キャンパスに分ける」
1学部1学科(経営情報学部ビジネスデザイン学科)の学園大には、①国際教養②英語コミュニケーション③現代ビジネス④国際エアライン⑤国際ホテル⑥公務員⑦AI・情報⑧コンテンツデザイン⑨日本文化・ビジネス(対象は留学生)のモデル(コース)があり、この9コース構成は筑波学院大と専門学校の特性が生かされている。
来年度は200人定員充足へ
大学再生の最大の課題は「定員200人」の確保になる。今年度は126人(うち留学生は40人)にとどまったが、「来年度は仙台キャンパスが本格的に稼働することもあり、定員を充足できると思う。知名度では大規模大学に及ばないが、入学希望者にはキャンパスに足を運んでもらい、大学の良さを知ってもらいたい」と語る。
また、専門学校を大学に統合する計画はないのか、新たな学部を創設する計画ないのか―との質問には「いずれも現段階では考えていない。仙台キャンパスの立ち上げで定員が不足することも予想されるので、中期的には定員を300人に増やすことを考えたい」と、2キャンパスの活用に意欲を見せた。
【はしもと・つなお】2005年、東北大学経済学部卒。監査法人、コンサル会社を経て、10年、東北外語学園(外語観光専門学校、ホテル・ブライダル専門学校、幼稚園・保育園を運営)理事。13年から同学園理事長。18年9月から筑波学院大理事長。経営学修士。
【インタビュー後記】東北外語は旧満州のハルピン大学で数学教授をしていた祖父が創設した。学校教育者としては3代目。公認会計士の資格を持っており、大学再生には適任といえる。大学教授だった祖父は大学創立に強い関心があったそうだ。(経済ジャーナリスト・坂本栄)