筑波大学(つくば市天王台)は学生食堂のメニューに2月末から期間限定で、二酸化炭素(CO₂)排出量を表示し提供している。カーボンフットプリント(CFP)という取り組みで、食材を調達し、食事として提供されるまでに排出された二酸化炭素を数値化する。二酸化炭素排出量を可視化し、学生らが地球環境負荷を理解することで、排出量削減につなげる狙いがある。
CFPは、商品やサービスがつくられてから捨てられるまで、生産、加工、流通、消費、廃棄の各過程で排出された温室効果ガスを追跡し二酸化炭素に換算して、表示すること。
地球規模課題の解決や持続可能な未来に向けて学問領域を超えて探索する同大デザイン・ザ・フューチャー(DESIGN THE FUTURE)機構と、学生、学食提供会社などが連携し、大学会館レストラン「筑波デミ」を含む3つの食堂で2月26日から3月8日まで実施している。
同大で学食メニューにCFPを表示する取り組みは、昨年10月開催された同大創立50周年記念イベントのランチパーティーで実施して以来のことで、今回は、同大食堂を訪れる学生や教職員らに向けて、初めて期間を設けて実施する。
CFP表示されるメニューは、日替わり32種と定番10種に及び、3つの食堂で1日3種類程度の日替わり定食や丼ぶりものにCFPが表示されて提供されるほか、医学食堂や1A棟食堂ではそばやうどん、ラーメンなどの定番メニューも対象だ。
CFPの低い学食をランキング形式にして紹介するなど、学生が二酸化炭素排出量を考慮してメニューを選択することもできる。
デザイン・ザ・フューチャー機構長で同大副学長の西尾チヅル教授は「二酸化炭素排出量削減に向けては、脱炭素に関する研究など技術的に進化している一方で、消費者が食料と二酸化炭素排出量を結びつけて考える機会はなかなかない」と話す。
そこで学生が地球環境について考える場を設けるため、まずは身近な学食に目を付け、CFPを表示するプロジェクトが昨年4月から企画され始動した。
西尾教授は「将来的には、消費者によりわかりやすい表示法の模索や、継続的に、期間を設けて運用し、二酸化炭素削減につながる暮らし方の提案ができれば」と話した。
同プロジェクトには学生も参加し、ポスターのデザインや、食堂のテーブルに設置されたポップ案内の作成、CFP表示に併せてカロリーや三大栄養素表示の提案を行うなどしている。
学食メニューのCFP表示は、今年1月に東京大学で期間限定で実施された。海外では、米国、ドイツ、フィンランドなどで環境負荷の低いメニューが提供されている事例などがある。(上田侑子)
◆筑波大の学食メニューにCFPを表示する取り組みは3月8日(金)まで、大学会館レストラン「筑波デミ」、医学食堂、1A棟食堂「TSUKUBA TABLE」で実施。営業時間は午前11時〜午後1時30分まで(月〜金、現在短縮営業中)、医学食堂のみ午後2時まで営業。