意識高め合う機会に
筑波大学の学生組織「LGBTQ+ = ALLIES Salon(アライズ・サロン)」が、「だいばーしてぃ 勝手にBEST TEACHER(ベスト・ティーチャー)賞」と題し、LGBTQを始めとする性的少数者の学生に寄り添っている教員に、感謝状を贈った。28日に学内で開催された「感謝状授与式」には、受賞した教員25人のうち12人が出席。学生から感謝状が手渡された。
感謝状を受け取ったカザフスタン出身で人間系のタスタンベコワ・クアニシ准教授は「私自身、外国人女性として、大学内で居づらさを感じることもある。同じようなマイノリティー性を持つ仲間として認めてもらえたようでうれしい」と笑顔で話した。
学生が教員に投票
同会は、LGBTQ+当事者学生と、当事者学生に寄り添い共に行動するアライ(Ally)である非当事者学生が、性のあり方に関わらず、自分らしく過ごせる環境づくりを目指して活動している。
今回の企画では、昨年12月から2カ月間かけ、学内の学生や教員などに、性の多様性に寄り添っている教員を投票してもらった。結果、学生ら約35人が投票。より多くの教員を表彰したいと、自ら表彰を辞退した教員以外は、名前が挙がった全員に感謝状を授与した。
アライの立場から今回の企画運営に関わった大学院修士2年の後藤美句さん(24)は「予想以上に多くの先生が性の多様性を意識してくれていた。今回受賞された先生同士がつながることで、先生方の中でもより意識が高まることを期待したい。来年度も同様の企画を続け、LGBTQ+の学生に寄り添う先生が増えるきっかけになれば」と話す。
多様な性と向き合うために
授与式後には「普段、学生と向き合うために気をつけていること」をテーマにパネルディスカッションが催され、受賞した3人の教員が登壇した。
助産師実習を担当する医学医療系の岡山久代教授は、出産を経験するのは男女のカップルだけでないため、相手の性別を決めつける表現をしないように指導したり、数年前、看護実習のユニフォームを男女で同じデザインにするように働き掛けた経験を紹介し、「学生には多様な生き方に寄り添う医療を提供できるようになってほしい」と語った。
教育学の授業で性教育にも触れるというクアニシ准教授は「すべての人にとって平等な社会をつくるため、日本の性教育をどう変えていくかを学生と考えている」と話し、「トランスジェンダーの生徒が性自認に合わせた制服を着用できない問題も性教育で扱うべきだろう」と指摘した。
学内組織「キャリア支援チーム」として学生に関わる福嶋美佐子助教は、大学院の進学率における男女差を指摘。「大学入学時点で博士課程進学を希望する女子学生はほぼいない。進路選択の幅を広げるために、学群生を対象としたキャリア形成に関するイベント等で、ロールモデルとして博士号を取得した卒業生を紹介することに注力している」と普段の取り組みを紹介した。
クアニシ准教授の「レズビアンの友人に『相手の性を決めつけないことが大切』と教わり、心掛けている」という発言に対し、福嶋助教は「LGBTQ+に限らず、どんなに気をつけていても相手を傷つけてしまうことはある。その時は素直に謝り、どうすればいいか教わっていきたい」と述べるなど、教員同士で意識を高め合う場にもなった。(川端舞)