【コラム・冠木新市】「中森明菜と松田聖子がつくば市長選挙に出たら、どちらが選ばれるだろうか?」と考えた。2月4日、ホテルグランド東雲で開催した『新春つくこい祭ツアー/80年代の中森明菜を舞い歌う』第1景の本番中だった。
明菜の80年代のヒット曲に合わせ、フラメンコと日本舞踊を次々に披露。参加者の手拍子、足拍子、掛け声でグングン盛り上がった。圧巻は『二人静』の曲によるフラメンコと日本舞踊の競演。扇を短刀に見立て、2人がグサッと刺すしぐさにはどよめきが起きた。
第2景であいさつに立った来賓は「見ていて、青春時代を思い出し涙ウルウルになりました。現在では娘がカラオケで歌っています」と話されていた。明菜再ブ一ムが起きていると知ってはいたが、眼前の40代以上の女性の反応を見て、本当にそうなのだなと実感させられた。
80年代の明菜の曲とつくばの歴史を重ねた構成(映画探偵団72)を理解していただけるか心配だったが、第2景の民謡版『少女A』が終わったあと、長年つくばで暮らす人がわざわざ私のところにいらして、構成が良いとほめてくれた。どうやら分かってくれたようだ。
今回のイベントで明菜のことを調べると、明菜より2年前の80年にデビューし同時期に活躍した松田聖子の存在が浮き上がってきた。
何人かの女性に明菜と聖子のことを尋ねると、皆熱心に2人のことを語ってくれた。髪型、衣装、振付などにこだわりセルフプロデュースする明菜を支持する派とぶりっ子と揶揄されながらも海外での飛躍をめざしていた上昇志向の聖子支持派に分かれる。また、2人とも大好きだという女性も多くいた。
薬師丸ひろ子と原田知世は?
2024年2月はつくば史にとって特別な月になる。2月1日、洞峰公園が茨城県から無償譲渡された。2月12日には、つくばセンタービルに市民センターと消費生活センターと市国際交流協会が入った「コリドイオ」(イタリア語で回廊の意味)がオ一プンするからだ。
明菜派、聖子派がどんな反応を示すか興味がある。洞峰公園を無視しコリドイオのことを語るのか? コリドイオよりも洞峰公園の維持管理に関心を示すのか? 2つの出来事を分けて考えるのか? だが2つの場所は都市の中心軸として一つにつながっている。別のものではない。
つくばセンタービルができた年、筒井康隆原作、大林宣彦監督、原田知世主演の角川映画『時をかける少女』(1983)が公開された。未来から植物採集にやって来た若者に女子高校生が恋をしてしまうというお話。未来人は念波を用い関係者の記憶を書き換える。
この年、先に角川映画でデビューしていた薬師丸ひろ子と原田知世のアイドル競争が始まった。音楽業界の明菜と聖子、映画業界の薬師丸ひろ子と原田知世の活躍も同時期だったのだ。また明菜は角川映画のファンでアルバムを作っている。
今秋にはつくば市長選挙を控えている。鍵を握るのは80年代に明菜と聖子の歌声で育った女性たち、ひろ子と知世の映画を見ていた女性たちである。 だからであろうか、2人が市長選に出たら、どっちが勝つかなどと不埒(ふらち)な妄想が湧いてしまったのだろう。
次のイベントも80年代の女性を対象にするつもりである。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)