【コラム・川上美智子】筑波大学を訪れていたハワイ大学のバレーボールチームの学生が、私が園長をしている「みらいのもり保育園」の子どもたちと交流しました。保育園では3歳児以上の園児に「英語で遊ぼう」のカリキュラムを組んでおり、ネイティブの講師が週30分ほど英会話を教えています。講師は授業中ほとんど日本語を使わず、英語でコミュニケーションをとってくれていますので、大人が考えるよりずっと上達が早いです。

選手と交流した年長組の子どもたち18名は、今回のハワイ大学生の訪問日を何日も前からとても楽しみにしていて、大歓迎でした。身長2メートル前後の体の大きな選手たちの前でも臆せず、英語で「My name is 〇〇」と自己紹介をして、すぐに仲良くなりました。

パフォーマンスでは、お互い文字を教え合うプログラムを準備し、選手にはひらがなで、子どもたちにはローマ字で自分の名前を書いてもらいました。次に、きれいな千代紙を使って、折り紙をしました。

保育士が考えた「手裏剣」の制作は、子どもたちにも、選手たちにも少し難しく、長い時間をかけて、ようやく折りあげました。子どもたちは出来上がった手裏剣を投げる姿を見せ、使い方を教えました。最後に、園児が英語の手遊び歌「Head, Shoulders, Knees and Toes(頭、肩、膝、つま先)」を披露して、大爆笑のうちに交流会は終わりました。

短い時間の交流でしたが、選手たちが乗ったバスが見えなくなるまで、園児たちは園庭で手を振って別れを惜しみました。

このように、子どものころに豊かな体験を積むことが、健やかな成長につながることから、保育園では地域との交流を大切にしています。新型コロナで保育園に外部の方が入る機会を遮断せざるを得なかったこの3年間、子どもたちから交流や体験の機会が失われました。それが、健やかな育みにどう影響するかはわかりませんが、それらを取り戻せるよう、この1年は地域交流に力を入れています。

ラグビー交流、アート活動、バイオリン演奏…

このほか、筑波大学のラグビー部の選手たちとのラグビー・スポーツを通した交流では、タッチダウンやパス回しを習いました。また、筑波大の芸術学群の研究室とは、名画の鑑賞と造形アート活動による交流を行っています。

昨年度からは、県立明野高等学校の「ジョブシャドウイング」を受け入れ、高校生に職場体験、職場観察をしていただき、子どもとの交流も図っています。また、地域のバイオリニストの方が楽器の話や演奏をしたり、地域の農家の方が絵本『あさごはんのたね』の読み聞かせや、お米やブルーベリー栽培の話をしたりと、毎月、どなたかが訪問してくださっています。

担任の保育士による養育や保育に加え、園児たちはいろいろな大人と触れる機会があり、興味・関心を広げ深められる環境の中で育っています。ここで幼少期を過ごした子どもたちが、将来どのように活躍してくれるのかが楽しみです。(茨城キリスト教大学名誉教授、みらいのもり保育園園長)