【コラム・小泉裕司】煙火業界は、あっちの大会、こっちの大会と大忙し。旅行会社の花火ツアーも好調で、各地の花火会場は赤や黄のツアー旗にワッペンを胸に付けた行列が続く。その人混みをかいくぐり、プラチナチケットを手に観覧席に向かう。今回は、コラム5「…越後3大花火」(2022年8月21日掲載)で書いた「海の大花火大会」(新潟県柏崎市)の会場に到着するまでの「どうする?」お話。
午前11時、JR土浦駅改札口に到着するや、「列車事故のため、土浦駅から取手駅間は運転を見合わせています。復旧の見込み時間は不明です」のアナウンス。この告知がトラウマの読者も少なくないはず。
駅員に確認したところ、「1時間以上の遅れ、取手駅から上野駅方面は通常運転」とのこと。本来、11時25分土浦駅発で上野駅へ向かい、12時46分発「とき321号」に乗車。いったん長岡駅で下車し、ホテルへ荷物を置いてから、柏崎市の花火会場に向かう予定。往復乗車券と新幹線特急券は「えきねっと」の「チケットレス」で、在来線特急は紙切符で予約済み。
遅延に慣れない筆者の心臓はバクバク。「さあ、どうする?」。思いついた選択肢は次のとおり。
① 予約を変更し、運転再開まで土浦駅で待機する。
② 土浦駅まで送ってくれた家族を呼び戻し、その車で取手駅に向かう。
➂ ②と同様、家族の車で上野駅に向かう。
④ 自宅に戻り、新潟県までひとり車で向かう。
⑤ 中止する。
苦手な長距離ドライブ、しかもひとり
選んだのは、④の往復635キロのドライブひとり旅。花火をあきらめる考えなど毛頭ない。最大の理由は「自己完結」であること。家族の車で自宅に戻り、ガソリンを満タンにして、3本の高速道路をノンストップ、長岡市内まで4時間。宿泊ホテルに駐車後、長岡駅から信越本線で柏崎駅に17時50分到着。会場入りは18時20分。打ち上げ開始19時30分まで1時間の余裕だ。「花火を見る」に限れば、正解だった。
選択肢①の場合は? 新幹線予約を変更しようと土浦駅の駅員にたずねたところ、「ネット予約は駅窓口では対応できない。上野駅に着いたら電話で変更してほしい」と、渡された小さな紙切れには「えきねっとサポートセンター」の連絡先がプリント。早速電話したが話し中。この状況は終日続いた。つながったのは翌朝。かの常磐線は1時間20分後に運転再開したとの後日談だが、これでは上野駅に着いたところで、つながらず路頭(駅構内)に迷っていたに違いない。
車で長岡市に到着後、間に合わなかった信越本線柏崎駅までの特急券を払い戻そうと、並んだ長岡駅の窓口では「到着駅で手続きしてほしい」との案内。「花火大会で混雑する柏崎駅にたらい回し?」と切り返すと、「次の方どうぞ」と完全無視。不快な思いを残し、後日、サポートセンターと土浦駅窓口で払い戻しの手続きを完了。交通費に限っての収支は1,000円ほどの黒字で、苦手な長距離ドライブは、やはり正解だったのだろう。
以来、新幹線の予約は、割安な「eチケット」ではなく、「紙切符」に限ることにした。利用日間際に届く発券の催促メールが、少々わずらわしいのだが…。本日は、この辺で「打ち止めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)