【コラム・入沢弘子】春らしい陽気に誘われ、桜の名所・常陸風土記の丘に来ました。石岡市のウェブサイトで案内されている“サイクリング拠点の無料駐車場”に車を止め、BROMPTOM(ブロンプトン)を組み立てます。
自転車を押しながら入口の長屋門をくぐると、見事な茅葺(かやぶき)住宅が出現。L字型の住宅は「曲屋(まがりや)」と呼ばれるもの。中はソバ屋さんとして使われています。園内を進んでいくと、江戸時代の会津地方の茅葺民家を移築したものもありました。ここ常陸風土記の丘は、茅葺屋根のふき替え技術継承のために、職人の育成も行っているそうです。
さらに行くと、巨大な獅子頭が見えてきました。「石岡のおまつり」で町を練り歩く幌(ほろ)獅子の獅子頭を巨大化し、展望台にしたものです。この大きさは日本一。ちびっこ広場を見下ろす階段の上に鎮座します。迫力満点の獅子頭は、子ども時代だったら怖かったかもしれません。
茨城のブランド豚の故郷
獅子頭にご挨拶をしたら横道から自転車に乗り、ふるさと農道をスタート。走り始めると、すぐに上り坂。しかも結構長い。立ち漕(こ)ぎをしながら頑張りますが、既に脚がつりそう。
坂の上には「鬼越峠の梅林」の看板がありました。左手には白梅の梅林。甘い香りが漂っています。ここからは下り坂。頻繁に横を通るトラックに注意しながら快適に進みます。坂を下りると、「茨城県畜産センター」の看板。後で調べたらfacebookもあり、かわいい子豚の生育状況なども掲載されていました。茨城のブランド豚の故郷なのですね。
平地に出て視界は開けましたが、車やトラックの通行量も多いです。前方の、峰が一つになった筑波山を眺めながら走ります。なだらかな山脈に囲まれるように民家と田畑が広がる風景は癒されます。「手打ちそば」の幟(のぼり)もちらほら。八郷地区に入ったのでしょうか。
初めて信号のある道にぶつかりました。下青柳の交差点を右折すると、すぐに「いばらきフラワーパーク」。スタートから約90分。全身汗だくです。入園料が不要のフラワーパーク併設のRose Farm Market & Caféで、近所の農園の朝摘みいちごを使ったいちごパフェを注文。酸味と甘さに癒されながら帰り道を思い、ちょっと憂鬱(ゆううつ)な仲春(ちゅうしゅん)の午後でした。(広報コンサルタント)
<お知らせ>このコラムは筆者の都合により今回が最後になります。