【コラム・冠木新市】映画史に燦然(さんぜん)と輝く『マッドマックス』シリーズ。来年には、第5作『マッドマックス ザ・ウエイストランド』が公開される。

第1作『マッドマックス』(1979)はオ一ストラリア映画として低予算で製作され、世界中で大ヒットした。その当時、私はポスターのイラストがチ一プだったため、警官と暴走族が争う、ただのカ一アクション映画かと思い見なかった。

ところが、第2作『マッドマックス2』(1981)を見て仰天する。核戦争後の石油不足の近未来が舞台で、元警官マックスと暴走族ヒューマンガス一味とのガソリンをめぐる戦いが斬新に描かれていたからだ。近未来なのに古代神話を思わせる不思議な作りで、なぜか懐かしい思いにとらわれた。この感じはどこかで体験したことがある。それが映画PR用の新聞記事で謎が解けた。

映画プロデューサー・ケネディ、脚本家・ヘイズ、悪役を演じたウェルズが子ども時代に夢中になった日本のテレビ番組があった。タイトルは『SAMURAI』。1960年代に、日本の少年たちに忍者ブー厶を起こしたテレビ時代劇『隠密剣士』である。公儀隠密・秋草新太郎と忍者との戦い。『マッドマックス』には忍者の要素が入っていたわけだ( 監督ジョ一ジ・ミラーは無声映画バスター・キートン作品をイメージ) 。

第3作『マッドマックス サンダードーム』(1985)では、マックスが、女ボスの支配する物々交換バ一タータウンと伝説の救世主を待ちこがれる少年少女たちの世界に巻き込まれる。映画はどんどん昔の文化へと戻っていく。

4作『マッドマックス』の世界

前作から30年後の第4作『マッドマックス 怒りのデス・ロ一ド』(2015)では、主人公マックスがメル・ギブソンからトム・ハ一デイに代わり発表された。

ここでは核戦争45年後が舞台。人間の毛髪や、ありとあらゆるスクラップの再利用が行われ、何ひとつ無駄にしない暮らしが描かれる。しかし、そうした世界をコントロールするのは「砦」の独裁者イモータン・ジョーで、放射能に汚染されていない水を支配している。この「砦」の暴君から逃げ出す女性が、フュリオサと5人の子産み女。この追跡にマックスが巻き込まれる。

フュリオサたちは「緑の国」をめざすが、マックスは逃亡してきた「砦」には水も野菜もあり、そこが目指すべき「故郷」だと引き返すことを提案する。フュリオサは納得し、マックスと協力して独裁者と戦うため引き返すことに決める。

洞峰公園のベンチで考えた

世界の状況はだんだん映画『マッドマックス』シリーズに近づいて来ているのではないか。私には洞峰公園の野球場の青いベンチで未来を想像する習慣がある。

「洞峰公園」「つくばセンター」「北条つくば古道入口」「神郡(かんごおり)・蚕影(こかげ)神社」「臼井の坂道」「筑波山」は、ほぼ1直線につながっている。この道を養蚕発祥の「金色姫伝説」にちなみ、「つくばシルクロード」と名付けている。

「スマートシティ」「ス一パ一シティ」の近未来が進めば進むほど、古い歴史・文化が眠る「つくばシルクロード」が目立ってくると信じているのだが、いかがであろうか。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)