【コラム・坂本栄】物騒な世の中になりました。戦争は政治の手段という古典的な考え方が大手を振って登場。また、軍事と経済が連動する時代になりました。戦後日本の政治・経済・軍事の常識は非常識になってしまったようです。/NPO法人「NEWSつくば」は昨年10月、発足から5年を迎えました。地域の有力法人の支援も得て、自らのサイトとニュース・プラットフォーム経由で地域情報を発信しています。
上のパラグラフは年賀ハガキからの転載です。スタートから6年目に入った本サイトを、今年もよろしくお願い申し上げます。以下、賀状を少し補足します。
政治の延長で戦争をする時代
戦争は政治の手段…は、ドイツの軍学者クラウゼヴィッツ(1780~1831)の名言「戦争とは異なる手段を持って継続される政治に他ならない」を言い換えたものです。ウクライナに対するプーチンさんの振る舞いを見て、彼の頭の中は19世紀の状態であることを痛感しました。私たちの戦争に対する否定的な考え方はナイーブに過ぎ、政治指導者は自分の都合で戦争を始めると考えておいた方がよいのかもしれません。
20世紀半ば以降、私たちは自由貿易の恩恵を受け、そのシステムを広げてきました。ところが、経済と軍事がセットになった強国を志向する習さんに、米欧日が敏感に反応、戦後の貿易システムは壊れつつあります。半導体など多くの商品が輸出入規制の対象になり、日本にとって好ましい国際経済のシステムは過去のものになりました。
この77年間、私たちの常識であったことが、崩れつつあるようです。私たちは20世紀前半に引き戻され、政治の延長上の戦争が常態化し、経済が窮屈な思いをする時代に突入したのでしょうか。
地域メディアの新モデル模索
NEWSつくばは、新しい地域メディアのモデルを模索してきました。税金で運営される自治体の監視、解決が求められる地域問題の提起、地域のイベントやそこで活躍する方々の紹介―などの記事は新聞と同じですが、既存メディアとの大きな違いは「ネットで発信する非営利法人」であるということです。
新聞・ラジオ・テレビなどのメディアは、購読(視聴)料や広告料などで運営されています。これに対しNEWSつくばは、個人や法人の小口支援、法人の大口支援によって運営されています。経費の多くは有力法人の支援でまかなわれており、現在、十数社の支援を得ています。地域メディアの必要性に理解がある、これら法人の識見に深く感謝しております。
昨年12月、紙メディア時代の終わりを示唆する事件がありました。県南で配布されてきた有力フリー・ペーパーが休刊になったことです。また、新聞やテレビは、紙や電波だけでなく、ネットを使った発信に経営資源を振り向けています。大観すると、メディアの主流はネットに移りつつあり、私たちの試みもその流れに沿ったものです。
冒頭、ニュース・プラットフォームに触れましたが、私たちは、Googleニュース、Yahoo!ニュースなどのプラットフォーム(大手発信サイト)に記事を提供しています。つくば・土浦地域のニュースを、できるだけ多くの方々に読んでもらいたいと思っているからです。伝達範囲に制約のある紙メディアに比べ、全国津々浦々に届くネットメディアは、この点、圧倒的に有利といえます。(経済ジャーナリスト、NEWSつくば理事長)