国土技術政策総合研究所(つくば市旭)と土木研究所(同市南原)による第29回「ボール紙で作る橋コンテスト」の表彰式と作品展示が19日、「土木の日」一般公開中の両研究所で行われた。
コンテストは、工作用ボール紙を使って、幅30センチの川を渡れるような橋を作る。構造の強さやデザインが審査の対象になる。ものづくりを通じて生活を支えている橋などの土木インフラの大切さを知ってもらおうと1994年に始まり、コロナ禍でも途切れることなく続いている。
つくば市内の小学校4・5年生に応募を呼び掛けており、今回は413作品が集まった。大学や研究所の専門家らが審査し、最優秀賞に、渡壁太智さん(学園の森義務教育学校4年)の「守り橋」、髙橋涼さん(島名小5年)の「ゆかいなあおむしアーチ」、髙橋佑季さん(同)「左右あげあげ橋」の3作品を選んだ。
審査委員長の蓮見孝筑波大学名誉教授は、「渡壁さんの作品は飼っているイモリを素材にしているが、愛情極まってその体内に入り込むという概念転換をして奇想天外。高橋涼さんは一見アーチ橋だがひっくり返すと吊り橋にもなる逆転の発想を見せている。高橋佑季さんの作品は手品を見ているような美しさがあり変形の時間軸をもっている」と講評。それぞれの細部にまでこだわった手際に感心していた。

渡壁さんは「アカハライモリは大好きな動物で、家で4匹飼っている。お腹の赤い色が外からの光でちゃんと見えるようにするため、花紙を使ったり工夫して、夏休みをかけて作り上げた」という。
作品にはSDGsを意識したり、ドローンが組み込まれたり、近年のトレンドが随所に織り込まれてもいる。第2回から審査員を務めるデザイナーの佐山剛勇さんは「今回はもうネタ枯れかもと審査に臨むのだが、まだこんな発見があると毎回驚かされる」と語った。
両研究所はこの日、「土木の日」(11月18日)にちなむ一般公開が行われ、事前登録で申し込んだ約700人が試験走路や建設DX実験フィールドなどの公開施設を見て回った。その会場に、コンテストに集まった413作品全部が表彰式後に公開された。入賞作については21日から12月5日まで、イーアスつくば(同市研究学園)の特設コーナーに展示される。(相澤冬樹)
最優秀賞以外の入賞者は次のとおり。(敬称略)
【構造デザイン賞】千葉宏志郎(手代木南小)、渋谷健吾(手代木南小)、小島壮一郎(大曽根小)、小笠原悠(春日学園義務教育校)、坂本海(吾妻小)
【美術デザイン賞】飯岡崇真(吉沼小)、飯村李恩(要小)、岡部稜央(竹園東小)、西川緒美(竹園東小) 、新井那奈(並木小)
【努力賞】下瀬航一(大曽根小)、宮原啓(九重小)、七澤龍明(竹園東小)、久保田彩雪(学園の森義務教育校)、常陸克行(春日学園義務教育校)