【コラム・浅井和幸】「そんなこと言うもんじゃない」とか、「そんなこと考えちゃだめだよ」とアドバイスをされて苦しんでいる人が多くいます。
子どものころから、何度もこうしつけられ、それを真面目にとらえすぎると、ちょっとした悪いことを考えたり感じたりするだけで、自分は存在してはいけない人間なのだと責めるようなことが起こります。そして、それを押し殺して、誰にも見せないようにと苦しみます。
例えば、人に対して怒りを感じたり、気持ち悪いと感じたりすることは、多くの人に起こることでしょう。私たちは完璧な人間になれませんので当然です。ですが、このように感じただけで、即「悪い人」というわけではありません。怒りや気持ち悪いという感情を、相手に迷惑をかけるように行動化をしなければ、それほどの問題にはならないはずです。
そのように感じても、怒りなどを適切に伝え、コミュニケーションを繰り返せば、お互いの不理解を解消できます。そのためにも、自分の感情や感覚を押し込めるのではなく、まっすぐに受け止め、対応する練習をすることが大切です。
そのためにも、大人や支援者は、子どもや被支援者のネガティブな感情を受け止めることが必要です。人は、問題が目の前から見えないところに行くと、問題が解決したかのような錯覚を起こすものなので、気を付ける必要があります。
問題解決法を省みるとよい
子どもが変なことを言わなくなったのは、問題が解決したのではなく、感じたことを教えてくれなくなっただけかもしれません。リストカット(自傷行為)をしなくなったように見えるのは、見えないところを傷つけているからかもしれないのです。
不登校問題は、その子が卒業をして学校に所属していなければ、問題は消えるかもしれませんが、別の問題になっているかもしれません。A市からB市に移動した、問題を抱えた人は、A市では問題解決でも、B市では問題発生かもしれません。
強引な問題の解決方法が、もっと大きな問題をつくっていないか考えることをお勧めします。愛や正義で問題を無理にたたきつぶすことは、恨みを大きくしてしまうこともあります。戦いばかりを起こしたり、巻き込まれたりしやすい人は、問題解決法を省みるとよいでしょう。(精神保健福祉士)