十五夜の10日、絶好のお月見日和となった土浦市大岩田の霞ケ浦総合公園水生植物園前の広場は、多くの人出でにぎわった。
地平線・水平線から日の出、月の出を拝める同公園の湖畔域は近年、初日の出やスーパームーンなどの際に、人出が繰り出す格好のスポットになっている。今年の中秋の名月は土曜日、数日来の雨模様がすっかり晴れあがり、日中から好天だったこともあって、ファミリー客や若い二人連れの姿も目立ち、午後6時過ぎになって公園の駐車場が再び満車の混雑ぶりになった。
公園のネーチャーセンターからオランダ風車にかけての広場には、インスタ映えや天体写真を狙う一眼レフやスマホのカメラの列ができて、正面の霞ケ浦越しに上がってくる名月を待った。予定時刻は午後6時10分、ちょうど対岸の出島(かすみがうら市)、木原(美浦村)の両半島部が切れた湖面からの月の出が期待された。
日中からの好天は続いていたが、湖面近くの低空はもやがかかった状態で、予定時刻が過ぎても何も見えずやきもきさせた。やっと12分を過ぎたころ、円盤の赤い切れ端が虚空に浮かんだ。広場のあちこちから「見えた」「出たぞ」の歓声があがった。
日は沈んでいたが空はまだ青みを残しており、鮮やかな月の赤さに感嘆の声が続いた。空は急速に暗くなり、月は真円となり、黄色い輝きを強める。湖面への照り返しを楽しむ天体ショーは午後7時ごろまで続いた。
土浦市内から友達3人で来たという佐藤邦江さんは「80代になって、この先何回、十五夜が見られるか分からないから、毎年どっかで見ようねって、場所を探してきている。今夜は場所もお月様も最高だった」と喜んだ。