【コラム・秋元昭臣】「移入され肉食害魚(緊急対策外来種)となったアメリカナマズを地元の名物料理に変え駆除する」。ナマズの害を被っている桜川漁業協同組合の鈴木清次会長のアイデアです。そこで今夏、土浦で料理教室を開いている吉田礼子先生、霞ケ浦湖畔でモーターボート販売会社を経営している伊藤一樹社長らと一緒に、同漁協事務所(つくば市松塚)を訪れ、ナマズ料理を味わってきました。

まずアメリカナマズを解体。吉田先生が骨に付いた肉をこそぎ落とし、タンカイ(淡水域にすむ中型の貝)の甘辛煮、ごり(淡水産のハゼ類)のつくだ煮、川えびの揚げ物と一緒に、「揚げボール」「唐揚げ」「かば焼き」などにしていただきました。揚げたては「サクサク」「ほっこり」で、桜の木陰で川風に吹かれながらの昼食会になりました。

ナマズは海外ではよく食べられますが、日本では一般的ではありません。家庭でさばくのが難しく、お店にもあまり並んでおりません。天然物は入手するのが難しく、霞ケ浦周辺で売っているのは、山野水産(かすみがうら市)、観光物産店「こいこい」(行方市)、なまず屋(行方市)ぐらいでしょうか。

確かに外見はグロテスクです。しかし、ビタミンB1、Eなどが豊富で、疲労回復、免疫向上、動脈硬化予防、老化防止によいそうですから、もったいない話です。それに、広く流通するようになれば、漁業者が迷惑している害魚=ナマズを減らすことにつながり、漁協にはプラスです。普及させるため、吉田先生は調理方法を考えるそうです。

川に大切さを知る「川の日」を!

ナマズ料理を試食しながら、桜川漁連の鈴木会長は、延長60キロの桜川のことについても話してくれました。

以前は、水かさが増したときなど、7カ所の堰(せき)を人力で徐々に開放していたそうです。ところが今は、自動で一気に開放され、急激な水位上昇により、護岸が崩落したり、泥が堆積(たいせき)したり、浮遊物が大量発生したり、いろいろ問題が起きています。また漁協は、魚道設置などを関係部署に要望しているそうです。

桜川流域の人に治水・利水に関心を持ってもらうため、川の大切さをアピールする「川の日」を設けるよう鈴木会長は提案しています。また、伊藤社長は「川を守るには釣り人のマナーが大切だ」と発言、河川保護の話でも盛り上がりました。

試食中、桜川での川遊びを終えた幼児から声を掛けられ、子供を連れて遊びに来られる川を残すのも我々の責務と感じた次第です。(元ラクスマリーナ専務)