【コラム・相澤冬樹】某局の大河ドラマにあやかり、「鎌倉街道の13km」のタイトルで原稿を書いてもらえないか、研究者にお願いした。土浦市の上高津貝塚ふるさと歴史の広場の学芸員、比毛君男さんはかねて、「中世のみち 鎌倉街道」の企画展を担当し、市内の旧街道を熟知している。ちょうど土浦市内通過分が13km程度だろうとあたりをつけて持ち掛けたら、ほぼ的中の距離感だった。

比毛さんによれば、「茨城県内では、利根町、牛久市から阿見町・土浦市・かすみがうら市にかけて、つくば市の西部、桜川市の一部、ひたちなか市などに鎌倉街道と呼ばれる古道が伝えられて」いるそう。

土浦市内には鎌倉街道の伝承路があり、一部が「旧鎌倉街道」として市史跡に指定されている。そのルートは、市の南部では阿見町荒川本郷・荒川沖東・大房・中村西根・永国・天川・上高津周辺から桜川を渡ったと想定されているということだ。

で、頂戴したのが別掲の地図(本コラム用に再作成している)。ちょうど自分の勤務先近くだったことから、少し歩いてみることにした。

土浦市南部の鎌倉街道=比毛君男さん提供に基づき作成

花室川べりまで行って「源兵衛橋」を探しあてた。車で通れないこともなさそうだが、橋のたもとにたどり着くのが大変だろう。路肩や河岸は雑草に覆われている。橋の北には永国台の住宅団地が広がる。この造成の際、発掘調査で部分的に古道の一部が調査されたのだという。

下高津の高台には土地改良区の水路が通っていて、桜川からポンプアップされた水がつくば市など近隣の水田に供給されている。鎌倉街道はこの水路沿いに通っていて、下高津の高台を下りおりると史跡の高井城跡脇で、6号国道に交差する。イオンモール土浦は目と鼻の先だ。

ここまでのルートはつくば市下広岡と接するあたりを通る。永国台より古い住宅団地、桜ニュータウンを除けば、開発の手はほとんど入っておらず、いかにも市境らしい放置された姿をさらす。耕作放棄地やソーラーパネル群、里山を侵食する竹林などなど。

そうした街道すじを歩くと、今度は迷路に入り込んだ、「ひまわり迷路」。開設を告げている。1年前はたしか梅雨明けに合わせてオープンしていたから、今年はひと月ほど早い。

すでに人の背丈以上に伸びたヒマワリが大輪の花を着けている。運営する中根農園直売所(中根剛代表)に聞くと、今年は約30アールの農地に10万本以上のヒマワリを植えたそうだ。1年前は大した入場料も取っていなかったが、今季は料金箱を設置し、大人200円、中学生100円(小学生以下無料)を求めている。駐車場なども設置していた。

中根さんによれば「ヒマワリ以外にもトウモロコシ畑やコスモスを植えて、11月ごろまで下広岡一帯でさまざまな迷路が楽しめる」そう。元来が休耕地対策として始めたものだが、農地として再開墾して植物を栽培する手間と時間はなかなかに大変。特にこれからは「除草」に半端ない労力がかかる。

鎌倉街道も深い草いきれの中に埋まろうとしている。21日は夏至、今年の夏も暑くなりそうだ。(ブロガー)

◆比毛君男さん執筆の「鎌倉街道の13km」は総合科学研究機構(土浦市)の「CROSS T&T」誌71号に掲載される。発行予定は7月1日ごろ。