障害者同士が対等な立場で支援し合う当事者団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保)が4月から、「障害がある中高生のためのLINE de(ラインで)相談」事業を始めた。身体障害があり、公的な介助制度を使いながら市内で生活しているスタッフ4人が相談に対応する。
ほにゃら事務局長で、自身も重度身体障害がある斉藤新吾さん(47)は「障害のある中高生が自分と同じような障害のある大人に会う機会は少ないだろう。障害者として生きてきた私たちの経験が、今悩んでいる中高生の役に立てば」と話す。東洋大学客員研究員で、障害児教育が専門の一木玲子さんは「現在でも、障害のある中高生が障害のある大人に相談をする機会自体がほとんどない。中高生に身近なLINEを使ってその機会をつくるのは画期的な取り組みだろう」としている。
障害のある大人に相談したかった
自立生活センターでは、障害者同士が対等な立場で話を聞き合うことを通して、社会の中で自信を持って生きていくことを目指すピア・カウンセリングを日常的に行っている。障害のある仲間だからこそ分かり合えることがあるという考えがベースにある。
相談を受ける障害者スタッフも、中高生時代、様々な悩みがあった。斉藤さんは「当時、障害のある大人に相談できていれば、障害とともに生きていく具体的なイメージを持て、悩み方も違っていたかもしれない」と振り返る。
障害者スタッフの1人である川島映利奈さん(39)は「高校時代、地域で介助者の支援を受けながら生活している障害者と関わることで、親に介助を頼まなくても、自分の好きなことができると気づいた。学校で出会う友達や先生だけでなく、様々な背景を持つ障害者と話すことで将来の選択肢が広がるのでは」と語る。
LINE相談のホームページには、相談内容の例として「障害があるのは自分が悪いのか」「就職や1人暮らしはできるのか」などの障害に関する悩みや「先生や支援員・友達とどう関わればいいか」「家族と一緒でないと、どこにも行けない」などの人間関係の悩みが挙げられている。これらは、障害者スタッフが実際に中高生時代に悩んでいたことだ。 川島さんは「モヤモヤした気持ちを聞いてほしいだけでもいい。私たちと話すことで、一人じゃないと思え、少しでも楽になれば」と呼びかける。(川端舞)
●「障害がある中高生のためのLINE de 相談」のホームページから友達追加することで相談できる。開設時間は毎日午後5時から10時。1回の相談時間は40分。相談は無料で、匿名でも可能。希望する場合は、同性のスタッフが対応する。