「メカベー」はメカニカルベーゴマ。スピニングトップ社(土浦市港町)代表取締役の高橋克己さん(65)が医療機器開発のスキルを活かし、最長10分間も回り続ける安定感とステンレス製の美しいボディーの高性能ベーゴマを作り上げた。11日には、筆文字のデザインを施した新シリーズ「剣(つるぎ)」の第1弾が発売される。
医療機器の製作スキル生かし
今回登場は、コマの天面に筆文字「剣」をあしらった「Japanese calligraphy(ジャパニーズカリグラフィー)シリーズ」の第1弾。書道家の江森葵鶯(きおう)さんの筆による。筆文字の背景色はシャンパンゴールド、マットシルバー、レーシンググリーン、ワインレッドの4種類がある。これまでにも「虎」や「深海」「一撃入魂」という漢字フォントでデザインした「メカベー」を発表して海外ファンの人気も高い。「剣」も発売前から問い合わせがきているという。
製作者の高橋さんは国内や外資系の医療機器メーカーで40年間医療機器開発、品質保証業務に従事した。日本人の体に合わせた人工心臓駆動装置や血管内の病変部を削る高速回転ドリルなど、高度な精密さが要求される医療機器の製作に携わった。手術室にも何度も入り、機器の改良を繰り返してきたという。培った技術を活かしたいと定年退職後の2017年に会社を起こし、超精密なベーゴマ「メカベー」を作り上げた。
高橋さんは「医療機器を作って病気の人を治そうという使命感で働いてきたが、ベーゴマにも人を元気にする力があると感じる。子どもの教育にも良く、お年寄りの方も健康にする力がある。作り続け、世界中にメカベーを広めたい」と話す。

その特徴は遊びやすさと強さ。ステンレスなどの素材でできており、10分間回すこともできる。普通のベーゴマは紐を結んでこぶを作りコマに巻き付けるが、「メカベー」はこぶを作る必要がなく、より簡単に紐を巻き付けることができ、誰でも短い練習時間で回せるようになるという。
高速での回転バランスを保つ機構や紐巻きの構造などは3つの特許を取得。さらにコマの外周の直線と曲線を交えたくぼみ形状にも特徴があり、「メカベー」どうしで対戦させた時には打撃力が伝わって弾け飛ぶように設計されている。この外周の形状は意匠登録を受けている。パーツを交換したり、内部に5円玉硬貨を入れたりして自分好みにカスタマイズできるのも特徴だ。安定性があるため、他の種類のベーゴマと対戦させると競合するものがないほど強いという。
高橋さんはこれまで、強さを追求した「バトル系メカベー」や美しさを際立たせた「フィギュア系メカベー」、コマを回すのに適した台「バトルリング」などを製作し、オンラインショップで販売してきた。

ベーゴマを改良したおもちゃにはタカラトミーが販売する「ベイブレード」がある。世界80以上の国と地域で発売されており、累計出荷数は5億個を突破。世界大会も行われているため世界中にベーゴマ愛好家がいる。「ベイブレード」からベーゴマ愛好家となった人が、より強く美しいベーゴマを求め「メカベー」について問い合わせしてくるそう。今後は同シリーズの系譜で、日本の思想や文化を象徴する「柔」や「道」「龍」などの筆文字デザインの「メカベー」を製作予定。桜をイメージしたデザインも考案、開発中だ。(田中めぐみ)
◆「剣」は3960円(税込み)。「メカベー」はAmazon、楽天市場、メカベーオンラインショップで購入が可能。メカベーの回し方・基本フォームはこちらの動画で。