【コラム・入沢弘子】七福神巡りを思い立ち、近くの地域を調べていたら結城市にありました。茨城県西の北端、ユネスコ無形文化遺産の結城紬(つむぎ)が有名な都市。訪問は初めてのことです。同市ウェブサイトで七福神の社寺を確認して出発。
まずは、同観光協会お勧めの「結城蔵美館(ゆうきくらびかん)」駐車場に車を止め、福禄寿様を祭る「乗国寺」を自転車で目指します。蔵美館の近く、結城小学校横には陸軍大演習時の大本営跡があり、明治天皇御座所の石碑がありました。築地塀が巡らされた結城小学校付近は落ち着いたいい雰囲気。
しばらく行くと住宅街が途切れ、そばに栃木県小山市の表示のある橋を渡ります。橋の上からは冠雪した日光連山が望めました。県境を越え田園地帯を進んで行くと、お寺が見えてきました。乗国寺は結城家の菩提寺。朱色の山門と五百羅漢が印象的でした。
次は大黒天様と布袋様を祭るお寺です。乗国寺近くの蔵造り風の校舎・結城東中学校は、見世蔵(みせぐら)のある街並みと統一感があります。正門前から住宅地を進んだ先の「華蔵寺」には結城百選の石碑がありました。百カ所お勧めの場所があるのかな? 結城百選にも興味津々です。「大輪寺」は住宅街の一角に現れました。近い場所に、恵比須様を祭る「蛭児(えびす)神社」。
蔵美館まで戻り二十三夜塔の角を曲がると、すぐに目についた「ゆでまんじゅう」の貼紙に引かれ、富士峰菓子店に入店。結城市ウェブサイトに「ゆでまんじゅう食べ歩きマップ」があったことを思い出しました。結城名物ゆでまんじゅうは、江戸末期に疫病退散の病祓(はら)いのために生まれたものとのこと。縁起が良いので七福神巡りと両立を目指すことにします。
ばんく、こんびに、干瓢屋…
少し先のなか川菓子鋪でも真誠堂でも購入。「弘経(ぐぎょう)寺」に突き当たり、道なりに進んで行くと、毘沙門様を祭る「毘沙門堂」がありました。結城酒造に後ろ髪を引かれ、武勇の酒蔵に感心しつつ、再び蔵の通りへ。社寺や見世蔵の多い結城市内は見どころがたくさん。街灯サインも、ばんく、こんびに、干瓢(かんぴょう)屋などと書かれて楽しく、ついに自転車を引いて歩き始めました。
見世蔵で商いを営んでいる秋葉麹味噌醸造や喫茶カヂノキをのぞきつつ、山田屋菓子店でゆでまんじゅうを購入。横道に入ると、朱塗りの山門が現れました。結城藩藩主水野家菩提寺の「孝顕(こうけん)寺」です。
孝顕寺近くで道に迷い住宅地をさまよっていたら、道の角にぽつんと神社。弁財天様を祭る「市杵島(いちきしま)神社」でした。おまんじゅう買い歩きで散財した後にたどり着いたのは戒めなのでしょうか。池の奥の拝殿にそっと拝みます。
最後は寿老人を祭る「金光寺」。結城駅隣の小田林駅に近い場所なので、自転車を電車に携行することにします。愛車「BROMPTON(ブロンプトン)」は輪行バッグに入れて簡単に持ち運べるのです。
電車待ちの時間、ゆでまんじゅう4種類を改札前のベンチでいただきました。餡が見えるほど皮の薄いものや、皮の食感が生麩(なまふ)のようなものなど、店舗によって個性的。ゆでまんじゅうを作るお店は、他に結城駅南側にあと2軒あるようです。帰りのお楽しみにして電車に乗りましょう。(広報コンサルタント)