【コラム・佐々木哲美】自然豊かで春夏秋冬の多様な変化を見せる里山には、若者たちの元気な姿が似合います。認定NPO法人「宍塚の自然と歴史の会」では、小さな子どもから大人まで様々な世代の人たちを受け入れてきました。それは、広く宍塚の里山を知っていただかないと保全に結びつかないと考えているからです。

特に次世代を担う大学生が参加しやすいように気を配り、多くの大学から学生を受け入れてきました。地元の茨城大、筑波大、筑波学院大をはじめ、法政大のサークル、東京大のゼミ、NPO法人ドットジェピーからの大学生などです。また、宍塚里山をテーマにした卒論や論文で博士号を取得した方も多くいます。内容も自然系だけでなく、保全手法に踏み込んだ社会系、地元集落まで入り込んでの歴史系まで多種多様です。

その中でもユニークな取り組みが筑波学院大OCPです。学院大では、平成17年度から「社会力」育成を目的に「OCPプログラム」に取り組んでおり、大学と地域が連携して教育に関わる先駆的な取り組みとして、全国から注目を集めてきました。

OCP(Off Canpus Program)とは、大学のキャンパス内だけでなく、つくば市およびその近郊地域をキャンパスにして、社会力を育成するプログラムです。学生が希望する団体で30時間以上活動するもので、参加すると単位がもらえます。残念ながら、17年続いてきたOCPですが、学校の方針で今年が最後になるようです。

会の観察会や保全活動に参加

当会では、当時の門脇厚司学長と何度か意見交換をして、趣旨に賛同して毎年受け入れてきました。同大では、学生の興味や関心に応じた最適な受入れ団体との橋渡しは教職員だけでは困難とし、外部から「社会力コーデネーター」を業務委託契約で採用しました。その「社会力コーデネーター」の1人が、当時の里山さわやか隊の隊長だった野島伸三さん(故人)のおいだったことから、より付き合いが緊密になりました。

参加する学生は毎年3~5名で、会の観察会、保全活動の行事に参加して学びます。どちらかというと身体を動かし体験したいと、里山さわやか隊、田んぼさわやか隊、自然農田んぼ塾への参加が多くなりがちです。学生にとって、ノコギリ、スコップなど道具使い方など基本的なことから、様々な年齢層との交流など、刺激的だったと思います。その反面、もっと深いところでつながり合えなかったかなと反省もあります。

筑波学院大の「社会力の豊かな人間」とは、様々な人たちとよい関係を作りながら、仕事や様々な活動を通して、自分から進んで「社会の一員」としての、「市民」としての義務と責任を当たり前のこととして果たすことを喜びにし、それを生きがいに、社会の運営に参加できる人間のことです。すぐに成果は見られないでしょうが、将来は必ず成果が表れてくると信じています。(宍塚の自然と歴史の会 副理事長)